「最近、盗難が増えてるって。かなこも気をつけなよ」
エキシビションマッチは、チャンピオンであるあたしの権利でトーナメントシステムで行っている。だから、人数が集まらなければ、開催はしない。不定期だと観客が減るってリーグスタッフには言われたけど、各々別に仕事を持ってたりすると、気軽に誘えないのが現状。
「何が盗まれてるの?報告しなきゃ」
ここの会場を貸しきってる日は、何かトラブルがあったらあたしに伝えてもらうよう、みんなに頼んでる。今日はあたしは休みだけど、出場希望者が集まったからエキシビションマッチは開催。その試合途中に、連絡が入った。
「どういう事?マリィ」
「……言いにくい事やけど」
「……下着?え?まさか…変なファン?」
下着を盗むなんて、女子の敵!早速リーグスタッフに報告したら、更衣室の入口に監視カメラをつけてくれて、意外とすぐに犯人は捕まった。他にもビートくんが他の出場者と言い合いになったとか、ダンデさんがロッカーを破壊したとか、ネズさんへのファンレターが大量に届いた…とか、いろいろあるね、こう聞くだけで。
「わーーーーー!!!」
「どうした?かなこくん。そんな大声を出して」
「へ?ダンデさん!ご、ご心配には及びません…!」
そうだ、今はバトルタワーで試合中だ。休みなのにポケモンやってるなんて、ほんと、趣味がないってジムリーダーたちに言われても仕方ないよね…やめられないけど。
「休憩しようぜ?紅茶でも用意しよう」
「あ、あたしがやりますよ?オーナーにやらせるわけには…」
「かなこくんは客だぜ、ここで座って待っていてくれ」
や、そういう意味じゃないんだけど…ダンデさんにやらせるとさ、ものすごい量のお茶がほら…、出てきちゃうから。普通だと何杯分なんだろう?一体。
「お腹たぷたぷです…」
「バトルをすれば解決だ!さあ、第2ラウンドにしようぜ!」
はぁ、はりきりすぎ…それもこれも来週に迫ったチャンピオンマッチのせいなんだけど。誰が言い出したか、新旧チャンピオンの本気のバトルが見たいとかで、無理やりスケジュール調整させられた。こないだ華麗にエスコートしてくれたダンデさんとはまるで別人で…、でも、おかげでもう、ドキドキいってない。
「?オレの顔に何かついてるのか?」
「えっ、いや!始めましょう!」
こんなんで動揺するな、かなこ!とゆうか今まで全然気にしてなかったし、気づかなかったけどダンデさんって、人に顔を近づける癖あったかな?天然だからきっと無意識なんだろうけど…、あの一件から、ダンデさんの事が気になってしまっている。もしかして…これが恋、なのかも……。