「起こしたら、悪いよねー」
「ああ、そうだな」
オレたちはテレビの音もそこそこに、小声で話し始めた。だが、その時言われた一言が、オレに余計なスイッチを植えつけた。
「かなこってさー、キャプテンとかしまキングにモテモテなんだよねー。女の子たちもみんなかなこが好きだけどー、グズマさんだってきっと好きだよー」
「……。だからオレにどうしろって言うんだ」
「カキさんはよくわかんないけどー、マーマネはかなこに会うためにわざわざ防衛戦に行ってるみたいだし、クチナシさんだって会いに来られて満更じゃなさそうだったからさー、意外だったよー。博士だって嫌な気はしないだろうしねー、じーちゃんだって……」
次から次へとしゃべり出すハウの口を手で塞いでやった。何するんだ、そんな目で睨まれたところで怖くも何ともない……ッ!!
「……でもさー、かなこはきっと、グラジオに告ってほしいんだと思うよー」
「どうしてそう思う」
「余裕ないんだー!嬉しいくせにー」
「……うるさい」
「グラジオだって好きなんだよねー?かなこのこと。だったら、早く伝えた方がいいよー!誰かに盗られる前にさ」
お休みと口にしたハウはなぜか機嫌がよかった。オレの本心を確認したからか?……余計なことを。
「かなこ……オレがオマエのことを好きだと言ったら、つき合ってくれるのか……?」
ハウには聞こえていたかもしれないが、そんなことはどうだっていい。今まではオレだけが大切に想っていれば、この気持ちは伝わらなくてもいいと思っていた。だが今は、目の前の、いや……、正確に言えば真横に眠るコイツの本心を知りたい……、そう思った瞬間だった。