08
「…でも、きっと御曹司だから、許嫁とかいるんだろうなあ…」

何より、こんな事がバレたら、あの社長に怒られそうだな…そう思ったりもした。

「…って!!ダ、ダイゴさんと結婚したいワケじゃ…!!」

自分の思考に真っ赤になってしまう。そりゃあ…気になるし、変だけど(失礼)、優しくて素敵な人だなってのは事実だし…。

「…ちゃん!かなこちゃん!」
「…ふえっ!?」

いきなり声をかけられてびっくりした!!気づけばダイゴさんは戻ってきていたらしく、満足げに微笑んでみせた。

「…何考えていたんだい?さっき」

行きと同じようにサイホーンに乗りながらダイゴさんが話しかけてくる。何でもないです、そう答えるとそんなワケないよね?とからかわれる。

「だって顔…真っ赤になっていたよね…?」

…意地悪だ、この人。ホウエンにいる時から何度かそう思った事がある。ダイゴさんに気がなかったと言ったら…嘘になっちゃうし、ミクリさんに勘づかれてそうな事を思えば、この人まで話が筒抜けな可能性も否定はできない。

「…本当に何でもないですから」
「…ふうん」

ちょっと興味なさそうに返事をしたから、この話は終わりかな、そう思ったら。

「…ボクの事考えてくれていたら良かったのにね」

…え?声が小さすぎてよく聞こえなかったけど…ダイゴさんの事考えてたらって…え!?程なくして目的地について、さっきと同じように手を引いて私を降ろすと、何事もなかったかのように博物館に行って、何かの化石を手渡してる。ちょっとつき合ってよ、そう言うダイゴさんと海の側まで移動する。

「世界は、まだまだ広いんだな…」
「?…そう、ですね…」

何だかよくわからなかったから、適当に返事をした。これが彼にとって、どういう意味を持つのかは…今の私には到底知るよしもない事だった。しばらくして再び博物館に戻ると、どうやら化石は復元されたようで。これも持っていきなよ、と一緒に石も渡されていた…けど。

「これはかなこちゃんにあげるよ…いつか使う時が来るかもしれないから、ね?」

意味深にそう言われては、はい、と頷く以外なかった。こういう時のダイゴさんは…どことなく逆らえない、そんな雰囲気がするから。そして次のショウヨウシティに行き、例のホテルに泊まる。


bkm
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