03
「……ッ!?かなこ!?」
「なに……」

あたし、もしかして泣いてる……?何で……?グラジオの方も、いきなり泣かれるもんだから、どうしたらいいのかわからないみたいで。

「……家まで、送る」
「え……?」
「……別に、深い意味とか、ない。ただ……、泣いているオマエをこのまま、ここに置いて帰るのは……」

深い意味とか、ないんだ……。やっぱりグラジオにとってあたしは、“悪くない関係”、なのかな……。でも!悪くなくても、このままライバルではいられるもんね……!?

「…………っ」
「泣くな……」
「そんなこと、言われても………っ」

何で、急に抱きしめてくるの……こんなこと、誰にでもするの、かな……?でも不思議……、誰かに抱きしめられてると、落ち着くんだね……。どのくらいこうしてたのかな(外だから寒いし)、グラジオが口を開いた。

「ハウは、元気にしているか?」
「え?もちろん!ハウだってよく挑戦しに来るよー!前よりもっと強くなってるんだから!」
「そうか……そのうちオレも相手をしてもらおう。なんせ帰ってきたばかりで、住む場所も決めていないからな」

あ……。そう言われれば、端っこの方に荷物が置かれてる……え?ってことは、帰ってきたそのままで、あたしに会いに来てくれた、ってこと……?

「忙しいヤツだな、オマエは」
「……へっ!?」
「泣いたり、顔を赤くしたり……島巡りしている頃は、もっと強いヤツだと思っていたんだがな」
「……そりゃあ、あたしだって!リーリエみたいな女の子の前では、カッコつけたいもん!」

あ……、グラジオが、笑ってくれてる。リーリエはオマエらにとってのお姫様か、とか言いながら。ルザミーネさんのことを見捨てられなかったんだもん、グラジオはやっぱり、心の優しい人、なんだよね。


bkm
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