「オレには、コイツがいるからな……シルヴァディ、行ってやれ!」
「そういうことなら……。あたしも、シルヴァディで相手します!」
グラジオが修行に行ったって間接的に聞いたあの日。内心ショックだったけど、ウルトラビーストを捕獲する任務があったから……。でも、ラボで生まれた3体のうち1体のタイプ:ヌルを譲り受けたこと、ほんとに嬉しかった。何より……。
「「シルヴァディ、マルチアタック!!」」
グラジオの笑顔が眩しい。もしも彼が、あたしがシルヴァディを大切にしていることを喜んでくれての笑顔ならいいのに。ファイヤーメモリを装備した2匹は、どちらのものともわからない、赤い閃光を放ちながら、技を決めてみせた。
「もう終わりか?チャンピオン!」
「それはこっちのセリフ!」
周りには遮るものが何もなくて、普段なら小さくても十分声は聞こえる。……でも、今は、目の前で繰り広げられる好勝負に興奮して、叫んでいるかのように大声を出し合う。
「とどめだ、シルヴァディ!かみくだく!」
「シルヴァディ、おしおき!」
砂煙が舞う。鳴き声を発して倒れてたのは……、グラジオのシルヴァディだった。
「1つずつミスを潰すだけ……。オレにはシルヴァディがいるからな」
「グラジオ……」
固く握手を交わして。カオを上げた彼の表情は今までになく生き生きしていて……、胸の奥がきゅっと詰まった気がした。
「勝てなかったが……カントーでの修行にも、意味があったな。何より、オマエの強さ、改めてわかるようになった」
「そんなこと……」
チャンピオン、感謝するぜ。そう言われて心から幸せだと思った。初めはよくわからない人で、だんだんと互いを認め合うようになってきて、好きになって……、でもグラジオはカッコつけなところあるからきっと、仲間だって言いたくなかったんだろうな……でも、それでもこうして再び勝負することができた、そのことだけでもあたし……、嬉しい…………っ。