「オレは決めたぜ!かなこ」
ふらふらと寄り道をしながらトキワシティへ舞い降りれば、待ちくたびれたかのような顔で出迎えるグリーンの姿。なぜジムに集合と言われたのかがやっと、わかった。
「いつまでもジムリーダーがいないんじゃ、おまえみたいな挑戦者が困るだろうからな…そこで、だ!オレさまがジムリーダーになることを決めたわけよ!まあ?このルックスと実力があれば?すぐにでも有名になれるだろうしな!」
相変わらずグリーンとはぶっ飛んでいる男だ。少しばかり大人になったところで、上から目線がなくなるわけでもない。そこはまあ納得するとして、最後のバッジを手に入れるために、幼なじみと戦わなければならないのかと思うと気が進まないが。
「やるか?今から。オレさまにとって、おまえがジムリーダーとして一番最初に戦うトレーナーだなんて、これ以上になく燃えるシチュエーションだからな!」
「……そうだね。今までの感情を全部ここにぶつけて、すっきりさせる!グリーン…、あんたには絶対負けないから!」
かなこがそう言うとグリーンは、ジム仕様ではなく普段自分が使っているモンスターボールを取り出した。それは、彼が自分からの挑戦を、真剣勝負と捉えてくれている証。不敵に微笑むと静かなバトルコートで、向き合った。