ヒロイン:hgss
「マツバさん、見てください!」
ジョウト地方に眠るとされる伝説のポケモン、ライコウ、エンテイ、スイクン。そのポケモンに認められる存在でありたいと日々修行を重ねてきたマツバの前に突然現れた、謎の少女。初めは戸惑いを隠せなかったが…、勝負を通じて心を通わせるうちに、自分にはないものを持っているのだと確信した。
「ホウオウか…。まさか、スズの塔に戻ってきていたとはね…」
3匹のうちの1匹、スイクンに認められたかと思えば今度は、更なる伝説のポケモンを仲間にしたというのだから、たまげた。
「かなこちゃん…、ぼくはね、きみが少しだけ、うらやましくあるんだ」
「うらやましい…?」
初めて出会った頃より少しだけ、大人びた少女。その瞳には変わらぬ強さと優しさが映し出されているようで。
「……だけど」
「え……」
ポケモンを使わせたら右に出る者はいない。それは何度再戦を申し込んでも勝てないことから明らかだ。だが、実体はまだか弱い少女。伝説のポケモンに選ばれた彼女をサポートできるのは、修行を積んだ自分しかいない。
「今まで黙っていたし、きみは気づいていないだろうけど…ぼくはこれから、きみを守っていける存在でありたいんだ」
「マツバ、さん……」
自分よりも大きな背中に目一杯手を回す。ポケモン図鑑を埋めるため、色んなポケモンと仲良くなるため、悪い奴らと戦うために強くなるため。理由は様々あるが、ここまで突っ走ってきたのだ、少し位…、寄り道しても、ばちは当たらない。
「あたし、そういうのまだよくわからなくて…でも、マツバさんが教えてください!新しいことは、どんどん知っていきたいんです!」
少女の清らかな笑顔が、マツバの心をどこまでも癒していくのだった。