「うーーーーん」
朝からソニアが唸っている。研究がはかどってないのかな。そっと紅茶を淹れてあげると、大袈裟に感謝された。
「そうだ、かなこ。スコーンがあるから、食べてよ」
「いいの?ありがとう!」
悩んでるから休憩、ソニアはそう言ってテーブルセッティングをしてくれた。研究所だけど、家のような充実ぶりにはいつも驚かされる。
「ねえ、あんたはさ。どう思ってんの?ホップのこと」
「へ?ホップ?ライバルだよ?」
「じゃなくて!異性として、だよ。何ていうか…ドキドキしたりしない?あんたたち、結構距離近いでしょ?」
突然、ソニアがこんなことを言い出した。 恋愛ってこと、だよね?いつかはそういうのしてみたいけど…、今は全然わからない。特別ホップが好き、なんてのもないし…おかしい、のかな。
「おかしくはないよ。ホップじゃなくてもいいんだけど。恋してるとさ、苦しい時もあるけど、その人のことを考えてるだけで気分が上がったりして、人生のスパイスにもなるから」
人としての成長、なのかな?でもソニアは、無理して探すものじゃない、なんて言う。難しいなぁ…こんな平凡なあたしに、恋なんてできる日が来るのかな。
「もしもかなこがそういう人に巡り会ったら、わたしに教えてよね。とっておきのお菓子、作ってあげるからさ」
「やったー!ソニアって絶対、いいお嫁さんになるよ!」
あれ?どして顔、赤くするの?そっか、ソニアにはいるんだ、そういう人。誰?って聞いても教えてくれなそうだけどきっと、素敵な人なんだろうなぁ。