『またですか、かなこさん』
「ごめん、ビートくん。ここで待ってるね」
今日はビートくんとプライベートバトル。さっきまでオニオンくんと電話しながらワイルドエリアをさ迷ってたら、突然の大雨に降られて服がびしょびしょに。見張り塔跡地で雨宿りをしていると、意外にも早くやって来た。
「あなたはぼくを何だと思ってるんですか?いつもこうやって…」
「だから、ごめんねって」
「心がこもってません。それと、いつかは言おうと思ってましたが」
「へ?なに?」
「チャンピオンなんですから、もっと自覚を持って行動しろ!イメージダウンにつながったらどうするんだ!」
そう、たまにくる、ビートくんのカミナリ。でも顔を赤くしながら怒ってる姿がかわいくて、ついついいじめたくなっちゃう。なんて、そんなこと言ったら、鉄拳が飛んできそうだけど。
「止みそうにないですね。勝負なんて別の機会でいいので、さっさと帰りますよ」
何だかんだ言ってビートくんは親切だ。ジムチャレンジの頃は問題児でいろいろあったけど、今は立派にジムリーダーをやってるだけあって、慕われてる印象が強い。みんながそれぞれの立場で、ガラルの歴史に貢献してるんだと思うと、あたしも負けてられない。
「次の約束の前は、絶対にワイルドエリアに行かないこと。誓ってくださいね、ぼくに」
「はぁい」
こないだのトーナメントはちょっと苦戦したから、気を引き締めよう。しばらくワイルドエリアは、ちゃんと道がわかるところまでしか行かない。この日はホップに差し入れをして、早めに布団に入った。