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「かなこにはいないの?好きな人」

年イチのリーグカード更新のためにあたしは今、スタジオに来ている。もっと大胆に、なんて注文が飛ぶけど、みんなみたいにかっこいい写真なんて撮れるはずがない。

「あれ?かなこも来てたんだ」
「ルリナさん!えへ、かぶっちゃいましたね」

ジムリーダーを務めながら、モデルの仕事もこなすルリナさん。見た目はクールだけど熱い闘志の持ち主で、あたしも何度も苦しめられてる。防衛戦には勝ってても、この地位を維持し続けるためには相当な努力が必要。改めてずっとチャンピオンの座を守っていたダンデさんはすごいなあと思う。

「ふうん。悪くないけど、もっとリラックスしましょ」
「えっ、そ、そうですか?」

今でも写真を撮られるのは苦手。人に見られてると思うと、どうしてもぎこちない笑顔になってしまう。あんなに大勢の観客の前で試合してるのに?そう思うかもしれないけど…、あれは対戦相手との勝負が楽しいから。

「オマエらも来てたのか!奇遇だな」

キバナさんが現れた。このふたり、並んでるとすごく絵になる…思わず見惚れていたからか、同時に視線を浴びて、ぎゅっと身体に力が入った。

「そんな緊張するものか?プライベートの時はもっと緩んでるだろ」
「それとこれとは違います!」

あたしたちのやり取りを笑顔で見てるルリナさんだけど、きっと子供だなあって思ってるんだろうな。ガラルには素敵な女性がたくさんいるけど…、ルリナさんもメロンさんも、そしてソニアも。みんな美人なのに、気さく。だからあたしもいつかは、そんな大人になりたい。

「かなこ、この後暇?」
「え?ま、まあ…」
「じゃ、決まりだな!ルリナもつき合えよ」
「わたし、暇じゃないんだけど」

撮影の帰り、ふたりにご一緒させてもらうことになった。もしかしてつき合ってるのかな?そう言われても不思議じゃないくらいにお似合いで…、あたしにもこんな風に誰かの隣を歩く日が来るのかな、なんてこの時は思っていた。


bkm
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