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「ごめん!待たせたね」

平気だよ〜、そう言うマントの少女__ヒガナ。ミナモシティで待ち合わせて、ジョウト行きの船に乗る。ばっちり酔い止めを飲んできたから、思いっきりはしゃげる!

「シンオウとカントーは行ったから、次はジョウトかなって、思ってたんだ」
「そうなんだ!ヒガナ、結構充実した旅をしてるんだね!」

いつも簡単な報告くらいだから、こうしてゆっくり話すのは初めてだと思う。出会いが衝撃的だったけど…、あのときのような切ない瞳はほとんどなくなって、今は明るく前だけを見ている…そんな気がした。

「……ところでかなこ」
「なに?」
「元チャンプとは、どこで挙式するの?」
「アローラだよ!ヒガナも…来れたらいいな」

そう言うと気にしないで、だって。正直、あんな風な言い方されたから、ダイゴさんはヒガナの事、よくは思ってないだろうから。でもヒガナは、家に花くらいは贈ろうかな、とか何とか。

「わたしが祝福してること、伝えといてよ。憎まれてるかもしれないけど、してきたことは、間違ってないって、胸張って言えるからさ」

裏表がない。ヒガナは、純粋な子。はっきり言い過ぎて誤解を招いちゃうけど…、弱い一面もあって、何ていうか、上手く言えないけど…。

「うん!伝えておくね!いつかは、ヒガナとダイゴさんが、普通に話せるようになったらいいなって思うもん!」
「来るかねー?そんな日が。まあ、来たらいいよね、いつか」

遠くを見つめるヒガナ。その目線の先には…、生まれ育ったアサギシティが見えてきた。

「帰りは、元チャンプのお出迎え?」
「そうだね…」
「そしたら、旅の途中に会おうよ!ここに連絡してっ」

そう言ってヒガナは滞在先を教えてくれた。1日だけ会うことを決めて、一旦別れた。


bkm
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