俺の元に
白い煙が空中にばらまかれ、散乱し、やがては消えていった。
そんな光景をボウと眺めていると後ろにある扉がガチャガチャと音を立てる。そんな音も静かに、何もせず柵にもたれ掛かりながら聞いていると音は一瞬止み、その後にはガンッという錆び付いていた扉を乱暴に開ける音がした。
「扉壊したらあかんやん」
顔だけ振り向かせ少し笑いながら言うと扉を壊した本人は最初から壊れていた、と悪びれる様子もなく言い放った。
自然な流れで俺の隣に柵にもたれ掛かる。と、思ったら俺から2、3歩横に離れた。
「何やねん…」
「煙草くせぇんだよ」
「…そう言えば景吾の前で吸ったことあらへんかったなぁ。嫌いなん?」
とりあえず煙草の火を消しながら聞くと、当たり前だと言われた。
「俺様の身体に害があるものを取り込ませたくないんでな」
「流石、俺様」
こんな所で自分と一緒に授業をサボっているのに自分が綺麗なままでいられるのだと思っているのだろうか…。そんな事を頭で呟いた。
確かに景吾は綺麗だ。
見た目の美しさもあるが景吾の美しさは内面の努力によるものだと思っている。そりゃあ性格は誉めれるものではないが、人一倍努力してるし、何だかんだ言って他人の事を気遣ってるし、心優しい人間だってことは彼と仲のいい奴なら誰だって知っている。
彼の美しさは磨かれ続けた結果の産物だ。
そんな美しい景吾は俺と出会ってから変わってしまった。
高二の時、俺と景吾は同じクラスになりよく一緒にいるようになった。その時もそうだが、今思っても不思議に思う。優等生で人気者の生徒会長が不良である俺に話しかけてきたことは少しの間、生徒達の話題の一つとなった。
一応話題の人物の一人である俺は拒むことも受け入れることもせず、ただ一緒にいさせた。
でも、よく……もはや鬱陶しい程にいつも話し掛けてくるくせに、此方が話し掛けようと思ったときに限って他の奴と話している時、どうもイライラしてしょうがなく、この屋上に来た。
落ち着く、なんて思ったのは束の間、追いかけて来たらしい景吾は俺の隣に座り込みその日初めて授業をサボった。
人間、一度失敗しただけでどんどん堕ちていくもので、景吾はそれからあまり授業に出なくなった。保健室でサボり、屋上でサボり、授業に出たと思ったら寝ているか授業とは違うことをしている。
それでも成績は学年トップ。教師に本気で注意されることはなかった。
それでも生徒からの信頼は徐々に無くなっていき、三年となった今では生徒会長でもなんでもない、ただの一般生徒の一人となった。
「景吾も吸ってみ。クセになる味やで」
一本取りだし景吾の方に向ける
ーーーー景吾のことを未だに慕っている生徒や、友達として仲良くしてる生徒もいる。
外見も中身も元から綺麗な景吾は何だかんだ言って好かれるのだ。
それを俺は友達としては嬉しく思う。
…だが、
俺としては、気に入らない。
「…………」
景吾には、
堕ちて、堕ちて、堕ちて…
俺だけが触れている。
俺と景吾だけの世界にしたいんや
だからな、景吾…
俺の元に
(堕ちてきて…)
煙草へと伸ばされた景吾の腕を見て、少しだけ、笑った…
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サイト変わってから初めて上げるのがこれって…((引
未成年の煙草や飲酒はダメ、絶対
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