家族みたいな存在
ーーーーーー俺には誰にも言えない秘密があった
…そう言うと何か重大な事に聞こえるが意外とそうでもない。
ただ知られるといろいろと面倒な気がするから誰にも言えない…いや、言わない秘密だ。
青春学園中等部3年
手塚国光
この俺が秘密にしていることは、ーーーーーーーーー
ドアノブを回して引くと扉は簡単に開いた。いつもの事だが溜め息を吐かずにはいられない。そしてそのまま鍵の掛かっていない扉を開ける。
すると微かにテレビの音が聞こえ鍵を掛け、靴を脱ぎ、揃えるとリビングに向かった。
リビングの扉も開けるとテレビの音がより一層大きく聞こえる。
向こうは此方に気づいているのか、それとも気づいていて無視をしているのか、とりあえずテレビの映画を見続ける。
それは先日借りたヨーロッパの映画で一緒に見ようと約束していたのをコイツは忘れたのだろうか…
「…おい、玄関のドアはきちんと閉めろと何度言えば分かるんだ、跡部」
「あーん?帰ったらまず『ただいま』じゃねーのかよ、手塚ぁ」
氷帝学園中等部3年
跡部景吾
俺の秘密ーーーーーーーー
それは俺たち2人が同居しているということだ
テレビから目を離さず正論を言う跡部に少し腹が立つ。
確かにそれも大切で、言わなかった俺も悪いのだが、それなら跡部も『おかえり』と言うべきではないのか…………そんな事を思うが一番言いたい事が逸れるので言葉を飲み込み、ただいまと少し小さな声で言う。
「おかえり」
「……で、玄関の鍵を閉めろと何度言ったら分かるんだ」
「いいだろ、誰もいない時はちゃんと閉めてる」
「そういう問題じゃない。一人の時だって不審者が入ってきたら危ない事には変わりないだろ」
「危ないって……ガキじゃあるまいし」
「中学生は十分子供だ」
「…………」
この会話に飽きたのか跡部は見ていた映画を止めてテレビを消す。屈伸をした後、腹が減ったと言った。
完全にさっきの事はなかった事にはしているようだ。
こうなってしまえば跡部に何を言っても無駄だ。下手にしつこく言うと喧嘩に発展してしまう。喧嘩は面倒なのでしたくないと思うが、そういう所が跡部を甘やかしている事になるのだろうか。
俺がそんな事を考えているとは全く思っていない様子の跡部は「夕飯はハンバーグが食べたい」と言う。
やはり子供じゃないか。
壁に掛かっている時計を見ると既に7時になっていた。
自分も部活で腹が減っていたので早速夕飯の準備に取りかかった。
……と言うか、跡部は俺よりも早くに帰ってきているのだから跡部が作れば良いのにと何度も思う。料理が下手なわけでもないのだから。
夕食を作り、二人で食べる。
その後跡部は風呂に入り、俺は食器を洗う。跡部が上がると次は俺が入り、跡部は風呂上がりのシャンパン。ノンアルコールだ。
この生活には合わないがこれは譲れないらしい。
「もう9時か、手塚ぁさっきの映画の続きでも見るか?」
「………いや、俺は今日の復習と宿題が残っている。それが終わってから一緒に見ないか?」
「あぁ、別に構わねぇ」
そう言うと跡部は二階の自室に入って行った。跡部は跡部で、宿題があるのだろう。氷帝はレベルが高いし進んでいる。勉強もやはり大変なのだろう。
自分も跡部の部屋の隣である自室に入る。机とベットと本棚くらいしかない部屋だがゴチャゴチャとしていないので一番落ち着く空間だ。
*****
結局、宿題と復習、ついでに明日の予習をしていたら2時間経っていた。基本12時に寝るのだが映画は1時間で終わるだろうか…。
とりあえず跡部に声をかけると「おせぇよ、バァーカ」と言われてしまった。それでもさっさとリビングに降りていくのでかなり映画が見たかったのだろう。そんなに楽しみだったのなら跡部に勝手に見さしとくか、もう少し早めに勉強を終わらせば良かったと後悔する。
「(……と言うか、俺が学校から帰ってくる前に1人で見ていたのだから今も1人で見ても良かったのに)」
そんな事を思いながらも映画は始まった。この映画は字幕はあるが、全て英語で会話されている。
こうしてヨーロッパの映画を見ると英語の勉強になると跡部に進められ見るようになった。
因みに跡部は昔イギリスに住んでいたので英語は日本語と同じかそれ以上に話せる。なのでこの映画も1人の時は字幕無しで見ているのだ。
それを羨ましく思い、チラリと隣を見ると跡部と目が合った。
「………映画を見ないのか?」
「俺はもうここは見た」
「だからと言って何故俺を見る」
「特に意味はねぇよ」
「そうか…」
跡部が突拍子もなく変なことをするのはいつもの事だ。特に気にしないようにまたテレビに目線をやろうとするが、一度気づいてしまうとどうも気になって仕方ない。また跡部を見るとまた目が合う。もしかしてコイツは映画が始まってからずっと俺を見ていたのだろうか……。
「跡部、気が散るから見ないでほしいのだが」
「嫌なのかよ」
「いや…というわけではないが、気になるだろ」
そう言うと跡部は急に立ち上がり俺の後ろに回り込む。
何をするのか見ていたら後ろから抱き抱えられた。そして跡部の唇が俺の耳元へと近付いていき…
ーーーー気にすればいいだろ
、と低く呟かれた。
「っ〜〜〜〜」
「ハハッ…手塚ぁ、耳が真っ赤になってるぜ」
「……跡部。そういうのは彼女が出来たときにでも言ってやれ。少なくとも同性相手に言うことではないと思うぞ」
「……」
溜め息を吐き、少し下がった眼鏡を上げながら言うが跡部の反応がない。
チラリと後ろを振り向くと跡部はムスッとした顔をしていた。
「(………拗ねたな、これは…)」
でも、何故?
今のどこに拗ねる要素があったのだろうか…。寧ろ驚かされたのは此方だというのに。
拗ねた跡部は寝ようとしているのか、二階に上がろうとする。
時計に目をやると既に12時は過ぎており、確かに寝る時間だと心の隅で思った。
「……跡部」
階段を上りかけている跡部の手を無理矢理掴み、此方を向かせる。階段で急にやられたからか、バランスを崩し俺の方に倒れてきてそれを受け止める。
「っっっ…あっぶねーだろ!何すんだよ!!」
いきなりのことで驚いたのか抱き着いたまま跡部は大声をあげる。心臓の音も此方に聴こえるくらい大きく、そうとう驚いた様だ。
そんな跡部に構わず、俺は跡部の後頭部にへと手を伸ばし頭を軽く撫でる。細い髪がサラサラと流れ心地好い。
こうすると大抵跡部は機嫌を良くする。同居生活なのでさっきも言ったが面倒なことになりたくはない(流石に腹が立った時は喧嘩に発展するが…)。跡部の機嫌が損ねた時はこうする事が一番だ。
少しの間撫でてやると跡部から離れていく。まだ眉を寄せているがこれくらいなら怒ってはいないと判断し、最後にもう一度頭を撫でる。
「さて、もう12時を過ぎた。そろそろ寝るぞ」
「…てめぇが遅かったせいで映画が見れなかっただろ」
「悪かったと思っている。明日…いや、休みの日にゆっくり見ないか?」
「…今週の土曜」
「あぁ、分かった。DVDを片付けて寝るぞ」
そう言えば
跡部は嬉しそうな顔をする
それを見て
俺は少し嬉しくなる
家族みたいな存在
(そう思える程に大切な存在)
※※※※※
うわぁあ…(ドン引き)
オチがない…(・ω・`)
ダラダラ文章が長いだけの駄文だな、これは
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