「お目覚めになりましたか、神さま」

寝起きでぼやけた頭で、その声を聞いた。
少女のように高い声だけど、声変わり前の少年のものともとれる。どにしろ年端も行かぬ幼児の声なのにしっかりした発音で、いまいち年齢がわからない。

それよりも体がだるい。瞑った目のくっつき具合から、結構な時間寝てたと思うのに、どことなく疲れが取れていない。まだ寝ていたいと思うのに、それよりも今すぐ起きなきゃという気もする。
俺は重たいまぶたを開けた。


「私はちからを失った神さまのお手伝いをさせていただくことになったエンジェルです」

典型的なエンジェルだな。

「今や地上は魔物だけがはびこる荒廃した土地となっています」

真っ裸の幼児だ。体型は、ふっくらめ。あ、赤ちゃんってみんなこんなもんか?

「これも神さまのちからを封じ込めた魔王サタンの仕業と言えましょう」

その背中には立派な白い羽が生えている。
そして浮いている。

「神さまがもとのちからを取り戻すには人間たちの信仰心が必要となるのですが」

髪の毛が輝かんばかりのブロンドだから、下もそうなのかと思って股間に目を向けたが、そういや生え始めるのは中学生くらいだった。
ちなみに男の子。

「まずは人間を住まわせる土地を作るため地上へ魔物と戦いに赴きましょう」

今まで沈黙を保ってきた俺だが、ようやく覚醒しつつある頭で天使の話を聞いた。
…魔物?戦い?

「ハァー?!」
「あぁ、やっとお目覚めのようですね。お早う御座います、神さま」





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