『・・・はぁ』
嗚呼、空はどうして青いのかしら
「おい、そのため息やめろ。さっきからずっとじゃねぇか」
『悩める乙女は大変なの』
まぁアホの貴方には分からないでしょうけど
「ハッ、分かりたくもねぇな。つーか誰が乙女だ、誰が」
『(無視)あの方は今どうしてるのかしら・・・』
「・・・好きな奴でも、いるのかよ」
『あの方のことを考えるといてもたってもいられないわ!今もどこの馬の骨とも分からない奴といるかと思うと不安になってしまうの』
「軽い奴なのか、あーん?」
『モテモテだから仕方ないわ。そんな所も大好きだけど』
「・・・そうかよ(人の気も知らねぇで)」
『どうしたらあの方を手に入れる事が出来るのかしら』
「さぁな。せいぜい頑張れよ」
『先週は駄目だったから、今日こそ頑張らないとね』
「(土日のデートの誘いか?)」
『今すぐ早退して会いに行きたいくらいだわ』
「ハッ、まさかお前にもそんな相手がいたとはな」
『まぁ貴方には私のこの気持ちなんて分からないでしょうけど』
「・・・そうでもねぇよ」
『あらそう?それは意外ね』
明日新聞部にでも垂れ込みした方がいいかしら
「余計なことするな馬鹿」
『だって面白いじゃない!あの跡部様が、特売の目玉商品が売り切れないか不安で仕方ない庶民の気持ちが分かるなんて』
「・・・は?」
『だって面白いじゃ「言い直さなくていい」・・・ちっ』
「特売だと?何の話だ」
『・・・やあね、何を言ってるのかしらこのくるくるパー。私さっきから特売の商品が売り切れないか不安だって話してるじゃない』
「は?!おま、“あの方は今どうしてるのかしら”って言ってただろーが!」
『あの方=特売の玉子よ』
「先週はデートに誘えなかったとか・・・」
『デートなんて言ってないじゃない。勝手に脳内変換してんじゃねーよ(笑顔)先週は売り切れてたのよ、玉子』
「今すぐ早退して会いに行きたいって・・・」
『ええ、会いたいわ。本日特売の玉子に』
「モテるから仕方ないだの、そんな所も好きだの・・・」
『毎週金曜日はモテモテよね、特売狙いの主婦に。私大好きなのよ、卵焼き』
「・・・ま、まぎらわしいんだよテメェ!!」
『どこが?大体どんな勘違いをしていたのよ馬鹿』
「・・・っもういい・・・」
『毎週金曜日は不安でそわそわしちゃうのよね。今日も私の玉子は売り切れちゃうのかって』
「お前は色気より食い気だったな」
『しばき倒すわよ(笑顔)』
「ったく、人の気も知らねぇで呑気な女だな」
『・・・?』
「何でもねーよ」
不安に揺れる金曜日(不安の理由は玉子かよ)
(何でこんな女に惚れたんだか)
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