み ず か
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庭には夢が埋まってる
太陽嫌いのヒマワリ  [7/10]

 
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「何ぃ?清花のオトコ?……いや、まっさかなぁー」

 突然背後から聞こえたその声に、肩がびくりと震えた。
私がぱっと振り向くと、声の主はそんな私の赤く染まった頬を見ながらケラケラと笑う。

 『地味』が代名詞の私の兄だとは到底思えない鮮やかな金髪のその人は、相変わらずうっとうしく肩まで伸びた髪を後ろでくくっていた。
縛るくらいなら切ればいいのに、といつも思う。

「お兄ちゃん!」
「お兄ちゃん?」

 隣に座っていた彼はそう私の言葉を繰り返すと、あの後の私の質問攻めからなんとか逃れ、やっと口にすることの出来たカップ麺を大事そうにすすった。
そしてそれを持ったまま振り向き、立ったまま腕を組んでにやけるお兄ちゃんと視線を合わせて会釈をした。

「どうも、お邪魔してます。隣の家の須藤英知です。初めまして」

 彼が歯を見せて笑うと、お兄ちゃんも彼に対して不自然な程の笑顔を向けた。

「あぁ、こちらこそ初めまして。清花の兄の敬一郎です。ご丁寧にどうも」

 私は背筋がぞっとした。お兄ちゃんがこういう顔をするときは、大抵ろくなことを考えていないのだ。

 目の覚めるような金髪と真っ赤なタンクトップ、モスグリーンのTシャツが、代わる代わる私の視界に色を加える。
クリスマスみたいなその彩りに、目も頭の中もチカチカした。
「そうか、隣の。清花と同じくらいだよね?」
「はい、同級生でした」
「そりゃ奇遇だな。で、高校はどこ?」
「い、一緒」

 これ以上会話をさせるわけにはいかない。
そう思って私が彼の代わりに答えたのに、お兄ちゃんは構わず値踏みするようにじろじろと彼のことを見つめた。
いや、おそらく実際に値踏みしていたのだ。
私の胸に嫌な予感が膨らむ。

「ゆっくりしてきなよ。どうせこいつ暇だし、話し相手ができて嬉しいだろうから」

 彼が「どうも」と再び会釈すると、お兄ちゃんは満足げな表情で手を振りながら居間を出て行った。

「お兄さん、大学生?」

 お兄ちゃんが階段を上っていく音が聞こえ始めた頃、彼は再びラーメンをすすり出した。

 私はお兄ちゃんの不審な笑顔が気になってはいたが、とりあえずそのことは頭の片隅に置いておくことにした。
悩むだけ無駄なのだ、昔からお兄ちゃんの考えは全く読めない。

「うん。今二年」
「そっか、いいなぁ。俺も兄弟ほしかった」
 彼は箸で麺をすくい取りながら言った。
カップの中からはうっすらと湯気が上っている。

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