小説 | ナノ

 5話


視界にキラキラしたものが見えるようになって随分たちこれがなんなのか不明のままナマエは小学4年生を迎えた

小学4年生を迎える少し前から見える頻度が格段に上がっていた

これがどんな個性でどんなモノなのか知りたくて毎日視線でキラキラを追っていくうちに見えない日は無くなっていた
そしていつからかキラキラしたものが密集して見えるようになりあたかもそこに何かがあるような形状をする

爆豪は男の子の友達と遊ぶ事が多い
その中にまだ個性が分からないナマエが呼ばれることは今までに無い
時たま休み時間や下校時に爆豪がナマエを待っている事は4年生になった今でも変わらない

そして今日は爆豪は男の子達と遊ぶらしくナマエとは一緒に帰らなかった

ナマエは少し寂しいな、と感じながら癖のようにキラキラを目で追っていたら聞き慣れた声がした


「“無個性”のくせに、ヒーロー気取りかデク!!」

あ、これ勝己くんの声だ。と思い近くの公園からする爆豪を探す
爆豪を視界に捉えると「勝己くん」と声をかけようとしたと同時に爆豪が 緑谷を殴った


かける声を失ったと同時に、ー考えるより、先に体が動いたー

パチンっと弱々しい音が公園に響いた

音の中心には何が起きたか分からない爆豪と眉毛を上げて怒った顔のナマエ

「…ナマエ?」

平手打ちされた、と気づいた時に爆豪は目の前の少女を見る
緑谷を庇うように前に立ちふさがるナマエは何故か怒っているのに泣きそうな顔だった

「勝己くん…酷いよ…!出久くんの事殴るなんて!…無個性の事馬鹿にするなんて…!!」

ー あぁ、ダメだ、悔しくて悲しくて涙が出てきちゃう。

「私の知ってる勝己くんは…強くて優しいもん…!!」

誰かを陥れる強さではなくヒーローとしての強さだとナマエの目が爆豪に訴える
爆豪は目の前に現れたナマエに躊躇しながらも胸の内に咲いた黒い感情が止められずに溢れ出す

「てめぇ、なにデクの事庇ってンだ…?」

そんな事言いたいんじゃない、違う、別にナマエを傷つけたいわけじゃない。
頭と心が別の感情を抱き口から出るのは心の言葉

「そんなにデクが好きか…無個性同士仲良くしてんじゃねぇぞ…!」

ナマエの目からついに涙が溢れでる
泣かせたいわけじゃないのに、ナマエが 緑谷を庇い爆豪に立ち向かうこの瞬間がどうにも解せなかった

「勝己くんの…馬鹿ぁ!!」

ナマエの涙が頬を伝い地に落ちていくと同時にナマエの足元から何処からともなくふわりと風がなびき、自然とは言えない風がナマエを中心に渦巻いていく





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