小説 | ナノ

 6話


「勝己くんの…馬鹿ぁ!!」

ナマエが初めて爆豪に対する怒りを露わにすると同時にナマエの足元から到底自然とは思われぬ風が捲き上る

その異常事態に一番に気づいたのは爆豪で咄嗟にナマエの腕を掴む

「馬鹿!ナマエ!!落ち着け!」

「…へっ?え、え、何これ!?」

爆豪に名前を呼ばれて初めて自分の周りを冷静に見る
砂埃を飲み込んだ風というには優しすぎる竜巻のような形状をしたものがナマエを中心に巻き上がっていた
ナマエの腕を掴む爆豪の腕が土埃を含んだ風によって所々傷つけられる

それを目の当たりにしたナマエは血の気が引くのを感じた

「ど、どうしよう勝己くん!!やだ!勝己くん血が…!!」

「馬鹿野郎!落ち着けって言ってンだろ!」

「でもっ…!でも!!」

2人の言い合いは止まることを知らずにナマエを中心とした風も止まらない
側で見ていた 緑谷がこれでもかという程目を見開いて現状を見つめる


「……悪かった」

泣き止まないナマエに止まらない風、爆豪が絞りに絞って出した答えが突風に飲まれながらもナマエに響く

瞬間今まで何事もなかったかのように風は止んだ
その場にヘタリと座り込んだナマエを心配そうに駆け寄る爆豪に思わずナマエは抱きついた

「なっ!?」

顔を真っ赤にする爆豪と対照的にナマエは泣きじゃくっていた

「ごめんん…!ごめん、勝己くん…!!勝己くんをっ…傷つけるつもりなんてなかったの!!ごめんなさい…!」

赤児のように泣きじゃくるナマエに「こんなモン大したことねぇ」とぶっきらぼうに爆豪は言うが無意識にナマエの頭に手を置き宥めるような仕草を、一部始終を 緑谷は見ていた





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