◎ 14話
ネテロとのゲームが続きついには3人がかりでボールを狙うが一向に取れない状況がしばらく続き3人は汗だくであった
「やーめた!ギブ!オレの負け!」
1番早く根をあげたのはキルアだった
「あのジイさん右手と左足ほとんど使ってないんだよ!今のまんまじゃ一年中追っかけ回したってボールなんか奪えっこない」
「「え!?」」
ゴンとナマエは驚いてネテロを見ると確かに右手と左足は使っていなかった
「おやバレてたか、うまく隠してたつもりだったんじゃが」
「はっはー!とことんムカつくジイさんだぜ行こうぜゴン、ナマエ」
「あ、オレもうちょっとやってく」
「…私も」
キルアの誘いに申し訳なさそうにナマエは断りを入れると何言ってんだ?って顔で見られた
説得を諦めたキルアは先に部屋を出てゴンとナマエだけになった部屋でボールの攻防戦は続いた
5分も経たないうちにナマエは嫌な予感に駆られた
ネテロの殺気でもなくどちらかといえばヒソカに会った時の様な
「ネテロさん、ごめんなさい!少し休憩を貰ってもいいですか?」
「うむ、構わんよ」
ネテロに一言入れナマエはキルアが向かった先へ急いだ
ナマエが走って追いかければ汗だくになった為か上半身裸のキルアの後ろ姿が見えた
前からは成人男性2名が歩きながらキルアと肩がぶつけていた所だ
難癖をつける男性2人にキルアの手が伸びるのをスローモーションで捉えたナマエは焦って声をかける
「キルア!!」
びくりと肩を上がらせてキルアは振り向く
「…ナマエ?」
「おいおいなんだ嬢ちゃんこいつの連れか?」
柄の悪そうな男達にナマエは少し怯えながら「すみません」と一言詫びを入れキルアの腕を掴み男性の横を通り過ぎた
少し歩いた所でキルアが立ち止まりナマエは振り返る
いつもの様なお気楽な雰囲気ではないのを肌で感じた
「…キルア?」
「…なんで…」
「え?」
「分かってて止めたのか?」
「どういうこと…?」
キルアの顔が上手く見えない事が何よりも不安でナマエはいつものキルアを探していた
「オレがあいつら殺ろうとしたの分かってて止めたのか?」
「…そこまでは分からないけど…私、初めて話しかけてくれた時や夜景を見ながら話してくれたキルアが好きだよ」
「えっ…」
パッとキルアが顔を上げるとナマエはキルアの目を漸く見れたことに安堵する
「やっといつものキルアだ」
優しく笑うナマエにキルアは先程まで殺伐としていたのにも関わらずそれとは真反対の感情に苛まれた
胸がうるさい…
「別に、礼は言わねーぞ」
ナマエの先をキルアは急ぎながら振り向きざまに「だってオレの事好きなんだよな?」とニヤけながらナマエに言った
「なっ!ち、違う!そういう好きじゃなくて!」
「じゃあなんの好きだよ」
いつもの調子に戻ったのは良いものの顔を真っ赤にしたナマエをキルアはからかい続けた
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