小説 | ナノ

 10話




濃い霧の中ゴンとナマエは叫び声が聞こえる方へと走るがあちこちから聞こえる声にナマエは迷っていた

「俺耳が良いんだ!レオリオの声は分かる!付いてきて!」

「わかった!」

ゴンの背を頼りに数歩、後方へと回った時ゴンが釣竿を構えて振りかぶった
そして投げた釣竿の先端部分はヒソカの顔に命中した

「やるねボウヤ」

まるで語尾にハートでも着きそうな独特な口調に妙な雰囲気を纏ったヒソカが一歩ずつゴンとナマエの方へ向かう
途中静止に入ろうとしたレオリオが一撃でのされてしまった
そしてその隙をついたゴンまで首を掴まれてしまう

「ゴン!レオリオ!」

思わずゴンを掴んでいたヒソカの腕に蹴りを食らわせてゴンをなんとか救出したナマエ

「おや、もう1人いたのかい…気配の消し方が上手いね…うん…美味しそうだ」

ゾクっと背筋が凍るような殺気を浴びたナマエはゴンを連れて後方へと退く

「大丈夫、君達は合格だ」

2人で戻れるね?とレオリオを抱えてヒソカは森の中へと消えていった

「な、なんだったの…」

ヒソカが見えなくなってようやく安堵のため息が着けるナマエ

そしてゴンも我に帰り助けてくれた礼を言うとクラピカと合流しヒソカが消えた森へと向かう

「レオリオのつけてたコロン独特だから分かるよ!きっと出口だと思う」

クラピカとナマエはゴンの特技に驚きながら同じく感で出口だと思いついていくことにした

「先程はありがとう」

「え?」

「ゴンと助けに戻って来てくれただろう?おかげで遠回りさせてしまった」

「…いいんです!私がやりたくてやった事だから」

ゴンを追いかけながらクラピカがナマエの方を見ながら話しかける
そしてナマエは何の気なしにクラピカになぜハンターになりたいのか尋ねた

「…私は賞金首狩りを目指しているんだ。クルタ族という緋の目を持った一族の生き残りなのだ…しかし4年前に幻影旅団という盗賊に皆殺しにされた」

「…みんな…?」

クラピカの話に思わずナマエは自身の過去が蘇った
自決した村人たち、飛び散る血、母親の叫び声、走り回って傷ついた足と心

「あぁ…みんな殺されてしまった。私は幻影旅団を捕らえて仲間の目を集めるのが目的だ」

「そうなんですね…私は小さな島国で育ったから幻影旅団なんて初めて聞いたけど…仲間の目を取り戻せるといいですね」

「ありがとう、ナマエ」

出会って数時間しか経っていないナマエはクラピカにこれ以外にどう答えればいいのか分からなかったのだ

走りながらクラピカは重くなった空気を感じたのか「私にも敬語はいらない」と言って場を和ませてくれた






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