小説 | ナノ

 29話




初めての対人訓練が終わり放課後
ナマエは教室を出る爆豪の後を追いかけた

「勝己くん」

ナマエに呼ばれ爆豪は足を止めた


「…今日の訓練、勝己くんの戦いは酷かった。…私、怒ってるんだよ?…何に対してあんなに焦ってたかなんとなく、分かってるつもり」

振り返らず、言葉も返さない爆豪の背中に1歩ずつナマエは歩み寄る

「いつもの勝己くんならあれぐらい余裕で勝てたのに…悔しいよ…」

爆豪の服の裾をナマエはぎゅっと掴んだ

「今日…俺はデクに負けた…!」

「…うん、私…あんな負け方する勝己くんなんて見たく無いよ…!嫌だったよ…!」

小さく震える爆豪に思わずナマエは後ろから爆豪を抱きしめた
抱きしめられた爆豪は一瞬驚きそして振り返ってナマエを正面から抱きしめた
その瞬間、今まで我慢していた涙がナマエの頬を伝った

「俺は…こっから…!ここで1番になってやる!」

「!うんっ!今度は絶対勝ってよ勝己くん!」

「俺はもう負けねぇ…だから今度はナマエ、俺の事見てろや」

分かったよ、とナマエが言って2人はどちらともなく体を離した
体を離すと恥ずかしさが一気に押し寄りナマエはパッと爆豪から離れた

「じゃ、じゃあ私、今から皆と訓練の反省会してくるから…っ!」

顔を真っ赤にしたナマエは走って教室へと戻った
戻る途中廊下で腕に包帯を巻いた緑谷と出くわし「かっちゃんは!?」と聞かれたので居場所を教えると同時に無茶をした 緑谷を叱っておいた

「おー!ナマエちゃんおかえり!」

「ただいま上鳴くん」

「あれ?なんか目赤くね?…もしかして泣いた?」

上鳴は少し屈んでナマエの顔を覗くように観るとナマエは腕で顔を隠した

「なっ泣いてないよ!ゴミでも入ったのかな〜」

ははは、と笑いながら先程爆豪と抱き合った事を思い出し顔がまた赤くなる

そしてその日の反省会でクラスの皆と仲良くなれた





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