◎ 5話
「ツバシ町の2-5-10…」
ここへ行けば会場につけるとゼンが渡したメモを頼りにナマエはザバン市という場所にいた
そしてたどり着いた場所はどう見ても小さな定食屋だった
「…ここ?」
ゼン曰くハンター試験は応募者が数百万と言われるような大きな試験だが、この定食屋にそんな人数が入りきるとは到底思えない
しかしゼンの言う事を信じナマエは定食屋に入った
「ご注文はー?」
店に入るなり亭主らしき人が声をかけてきたのでナマエは慌ててゼンからもらったメモを見る
「えっと、ステーキ定食」
それだけ伝えると亭主はピクリと反応し今まで見なかったナマエの顔を見た
「焼き方は?」
「…弱火でじっくり」
「あいよ、お客さん奥の部屋へどうぞー」
焼き方を伝えると店員が店の奥へとナマエを案内する
案内された先にはステーキ定食が用意された部屋があり入ると同時に動き出した
どうやらエレベーターの様な仕組みになっているらしい
ー 1万人に1人
それがこの試験会場へたどり着く倍率であり、その中でも初受験者が合格する確率は3年に1人と言われている
(ちょっとズルした気分…)
事前にゼンに試験会場を教えられていたナマエは出されたステーキ定食を食べながら少し罪悪感に見舞われていた
そんな事を考えていると頭上に光る掲示板がB100を指し止まった
エレベーターの扉が開き緊張しながらナマエが会場に入ると沢山の人が既におりほとんどは怖い顔の体が大きい男ばかりであった
ナマエにとって初めての異様な目の前の現状にビクついていると小さい豆の様な輪郭をした人が近づいて来た
「ハイ、番号札です」
「ど、どうも…」
渡された番号には252番の文字が入っていた
それを受け取りナマエは逃げる様に壁の方へ向かった
それからしばらく隅の方で待っていると缶ジュースを片手にもう片方にはスケボーを持った少年が近づいてきた
「ねぇ、アンタいくつ?」
「え?…私?」
「そ、アンタ以外誰がいんだよ、こんな隅っこに」
おそらくナマエと同い年ぐらいであろう少年は隅に身を潜めていたナマエに気づき声をかけてきた
「12歳…です」
「同い年じゃん、敬語いらねーよ。オレ、キルア」
「あ、ナマエです…だよ」
ハハッなんだそれ。と笑うキルアと名乗る少年にナマエは少し緊張していた
初めて出会った同い年の少年、使い慣れない言葉に戸惑いつつもあった
「あっ、ついでに教えてやるよ。この缶ジュース貰っても飲まない方がいいぜ」
キルアは持っていた缶ジュースを振りながらナマエに見せた
ナマエは心の中でキルアは飲んでるのに、なんて考えていた時、会場中にベルの音が響き渡った
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