小説 | ナノ

 23話




「てめーどこ中だよ端役が!」

「勝己くん初対面の人に端役って言うのやめよ?」

「ボ…俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」

「聡明〜!?くそエリートじゃねぇか、ぶっ殺し甲斐がありそうだな」

「勝己くん!」

言い合いが止まらない2人の間にナマエが入るが、まるで収まる気配がない
飯田に関しては爆豪がヒーロー志望なのか疑い始めている。正直分からなくもない

青ざめた飯田がふとドアの方を見ると見慣れた緑の頭がこちらを覗いていた
そして飯田の視線の先をナマエも見る

「あ!出久くん!」

「ナマエちゃん!もっもしかして同じクラス!?」

「ってことは出久くんもA組!?やったー!」

2人で手を取り合って喜んでいると爆豪がナマエの上着の端を掴み自身の方へ引き寄せた

「…勝己くん?」

「うるせぇ、ここにいろ」

「う、うん?」

ナマエが困惑気味に頷くと飯田がハッと気づいたようにこちらに歩み寄ってくる

「申し遅れた!俺は私立聡明中学の飯田天哉だ」

「私ミョウジナマエ!よろしくね飯田くん。」

(良い子だ!)

なぜか泣きそうになっている飯田を他所にドア付近では実技試験前に緑谷と緑谷を助けた女の子が話し込んでいた

「お友達ごっこがしたいなら他所へ行け」

ドアの後ろ、それも床の方から発せられた声にクラス一同は振り返る
寝袋を着た男性が…寝そべっている

「ここは…ヒーロー科だぞ」

隠し持っていたのかゼリー状の飲み物を一気飲みすると寝袋から出てゆっくり立ち上がった

「ハイ静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠くね。…担任の相澤消太だ」

よろしくね、など茶目っ気がある語尾だが見た目は無精髭に伸びっぱなしの髪と若干不審者だ

(この人が…担任…)

心配に思っていると相澤は寝袋から体操服を取り出し全員着替えてグラウンドに出るよう指示をした
そして指示通りに着替えてグラウンドに集まった生徒に相澤は「個性把握テスト」を行うと言った

「雄英は“自由”な校風が売り文句、そしてそれは“先生側”もまた然り」

そして個性把握テストとは中学までは個性禁止の基礎体力を図るためだけに設定された体力テストを覆す個性使用可能なテストである

「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった」

「67m」

「じゃあ“個性”を使ってやってみろ。思いっきりな」

名指しで選ばれた爆豪が相澤からボールを受け取り腕を伸ばし振りかぶった

「んじゃまぁ、…死ねぇ!!!」

爆風によって飛ばされたボールを見つめながらクラス一同が「…死ね?」と唖然としている中ナマエだけが「相変わらずだなぁ」と苦笑いしていた

そして相澤がボールの着地点を示す画面“705.2m”を見せながら「自分の最大限を知ること」と教えた
その個性把握テストに対し誰かが「面白そう!」と叫んだ途端、相澤の表情が一気に変わる

「…面白そう…か。ヒーローになる為の3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?…よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し除籍処分としよう」

「「「はぁぁあ!?!」」」

生徒の声が響き渡る中、相澤は髪を上げて笑って言った

「生徒の如何は先生の“自由”。ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」






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