小説 | ナノ

 15話



放課後になり轟と個性の特訓をするのが日課になりつつあったある日

「う〜ん…こう?」

グググっと力を込めると手のひらに風が巻き起こる
火の特訓をしないのは轟への配慮だった
本人は何も言ってはいないが火を見ることも嫌がる様子なので火の特訓は家に帰ってからこっそりと行っていた

そして轟との主な特訓は風と水だった

「先週より早く出せるようになったんじゃねぇか?」

「本当!?轟くんのおかげだよ〜ねぇ、今度は水の方見て!」

「おう」

グッと力を込めて頭の中で流れる水を想像する
すると手のひらから水が溢れ出す

「これを上手くコントロール出来るようになりたいんだけど…」

水は溢れるばかりで形は整うことを知らない

「そうだな…俺なりだけど、頭ん中でどんな形にしてぇとか、どれぐらいの大きさを作りてぇとか考える」

「形と大きさかぁ…」

とりあえず手のひらに収まるサイズで得意な風の渦巻きをイメージする

するとグルリと円を書きながら作り上げられた水が渦巻きを作っていく

「で!できた!出来たよ焦凍くん!…ってわっわ、と、止まらない!」

手のひらのサイズとイメージしていたのにどんどん大きくなり手から離れても水の勢いは増していく

どうしよう、と慌てふためくナマエに落ち着け、と轟は水に手をかざす
パキリ、と音を立てて水は氷へと変化し動きを止めた

「焦凍くんすごい!助かっちゃった…」

「面倒見るって言ったしな。これぐらいいい」

ー 個性の制御ができなくて助けてもらう…このシチュエーション、初めて個性出た時勝己くんに助けてもらった時と同じだなぁ

そんな事を考えていると上から「でも個性の扱い、上手くなってんな」と笑いながら轟が話す

その言葉に嬉しくなったが日がもう暮れてきたので今日の特訓はここまでとなりナマエは轟にお礼を言い家に帰った





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