小説 | ナノ

 7話


まるで何事も無かったかのように静まり返る
爆豪とナマエ
相変わらずごめんね、と泣きじゃくるナマエと「別にどーってことねぇ」とぶっきらぼうにナマエの頭を撫でる爆豪

爆豪が予想するにこれはきっとナマエの個性であって“強い個性”である事は明確

ー これはきっと没個性でもなんでもなく戦闘にも使える個性

そう認識するには十分だった
だが爆豪は10歳と言う若さでそれを複雑に捉えていた

守ってやりたい、戦場なんかに行かせたくない、でも強個性だと認識するに複雑な気持ちを抱いていた

だが腕の中で泣きじゃくるナマエを見てなんとも言えない感情をこれが何かまだ理解できていなかった

「…俺は平気だ。ナマエの前で酷い事したのも謝る。だから…だから泣くな」

ナマエを抱きしめながらまさか自分が謝罪するなんて、と困惑に満ちていたが今目の前の少女の涙を止めることを最優先に考えた爆豪の精一杯の言葉だった

「…私勝己くんに酷い事した…それでも、それでも許してくれるの…?」

「だから!良いっつってンだろが!!」

優しく頭を撫でる爆豪にナマエは今までに感じた事がない感情を抱いていた

その光景を目の当たりにしていた 緑谷は硬直していた
あのかっちゃんがここまで他人に優しく接する所なんて見た事がなかったからだ

束の間の2人きりの空気を破ったのは爆豪の友達であるある2人の少年だった

「すげぇ!かっちゃん!やっぱりすごいね!」「やっぱり強いよ!!」「個性も使わずに止めちゃった!」などと爆豪に駆け寄る友達

いつも通りの雰囲気に戻ると同時に爆豪はハッとしてナマエの頭から手を引き体を離す
そして立ち上がり男の子達の輪に入りいつも通りの爆豪に戻っていた

いつの間にか止まっていた涙をよそにナマエは初めて起きた個性と爆豪の優しい手と体温を思い出して興奮とは別な暖かい感情を抱いていた





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