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4.外郭大地へ戻りましょう [ 11/21 ]


 タルタロスを記憶粒子に乗せて地上へ浮上すると言い出したジェイドに対し、私は猛反対した。可愛いルー君たちを危険な目に遭わせられるかと主張するも、あの無能軍人は一笑したのだ。
「外郭大地へならユリアロードを利用すればそんな危険を冒すこともなく戻れます。タルタロスに固執する意味が分からない」
「タルタロスは、我がマルクト帝国の最新技術が搭載された軍艦です。そう易々と手放せるわけないでしょう」
「ルーク様を危険に晒す方がおかしいだろう!!」
「理論は完璧です。多少の危険に怖気つくとは、思っていたよりも小心者なんですねぇ」
 小馬鹿にするようなジェイドの言い草に、ルー君も頭にきたのか言い返そうと口を開いたが、ルークに止められている。
「口を慎めよ。アクゼリュス崩落でルーク様は死んだとキムラスカは思っているでしょうが、あんたの言う勝算の少ない賭けに乗って万が一、億が一にルーク様に傷一つついたら即開戦だ。お前の首一つで済むと思うな。この無能がっ!」
 グラビティを前触れなく放ち、ジェイドはぐしゃりと潰された家庭内害虫(別名イニシャルG)のような格好で地面とお友達になっていた。
「俺らは、ユリアロードから行くわ。他の連中は、どーすんだよ」
と、ルークが問い掛けると案の定と言うべきかジェイドの案に乗った。予測の範疇内ではあるが、阿呆だろうコイツらと思っても仕方がない。
「ルーク様、行きましょう」
「あ、うん」
 ルー君の手を引っ張り去ろうとするさなか、罵詈雑言のBGMが背後から聞こえてきたので問答無用でネガティブゲイトを放ち黙らせた。こんな劣悪な環境でルー君は、捻くれた性格にならなかったものである。
 ユリアロードを先導して歩きながら、ルー君を可愛がっていたらルークに嫉妬された。
「ティア、俺の時と態度違うくねーか」
「だって可愛いんだもん。良くも悪くも良い反応してくれるからもう構い倒したくなるでしょ、普通」
「可愛いって言うな!」
 顔を真っ赤にしてキャンキャン吼えるルー君を見ていると、頭をワシャワシャして抱きしめたくなるじゃないか。
「もう抱きしめてんじゃねーか。ルークが窒息死になるぞ」
「若いお姉ちゃんのおっぱいで死ねれば本望でしょう」
「そういう問題じゃねーし!」
 ルークは、私からルー君をベリッと引っぺがすとベシッと容赦なく頭を叩いてくれた。地味に痛い。
 顔を真っ赤にして無言になるルー君は使い物にならないので取敢えず放置し、今後の行動について話し合うことにした。
「これからどうする?」
「そうねぇ、キムラスカに行っても殺されるだけだし。ダアトだと監禁されるだろうね。私んとこの愚帝よりもマシだと思いたいけど、取敢えずグランコクマかなー。陛下の出方によって滅亡ルートなるわね。ローレライだけ解放すれば別に良いんだし」
 この世界の人間がどうなろうと知ったことではないと断言する私に対し、ルークもそうだよなぁ〜と同意している。
 ただ一人滅亡と聞いて涙目になっているルー君は、どうやら世界が無くなるのは嫌らしい。
「滅亡って皆死んじまうのか?」
「人類滅亡ってだけで、動物や魔物は死にませんよー」
と答えたら泣かれた。何とかならないのかと泣きつかれ、私の心境は出来損ないのドラ○もんである。
「この世界の人間が腐ってなければ助かる道はあるかもしれませんけど……」
 トップが腐りきっているので望み薄いかもねーとは言わないでおく。
「まずは、ダアト港で鳩飛ばしてセントビナー崩落の危機をピオニー陛下とマクガヴァン少将に伝えよう。それからグランコクマへ直行だ」
「それで動かなけりゃ自業自得ってもんでしょう」
 私達は、ユリアロードを抜けてマルクトヘと足を伸ばしたのだった。

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