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7.事業を起こしてみました [ 8/48 ]


 キムラスカの国庫は火の車で新しい事業を起こそうにもお金が無い。
 そんなわけで、シュザンヌにおねだりしファブレ領地の一部をプラント開発に使わせて貰うことにしました。
 開発費も馬鹿にならないので、私は随分と長い間放置されているコーラル城に目をつけた。
「城を改装してテーマパークでも作れば良い観光地になりそうですよね」
「コーラル城をですか?」
 私の独り言を聞いていたガイが、不思議そうに首を傾げた。
「ええ、幸いキムラスカは譜業が盛んですからマルクトに真似できない遊園地が出来ますよ」
「そうかもしれませんが、あの辺りは街からも離れてますし、人が住まなくなって魔物が住み着いていると聞きますよ」
「魔物を追い払い人が住めるようにすれば問題ありませんよ。街から離れていても、コーラル城で宿泊できるようにすれば移動する必要もありませんし、話題性も出て一石二鳥。嗚呼、ガルドの臭いがしますね」
 ナタリアが作った貴族専用船プリンセスナタリア号なんて目じゃないぜ。
 フフフッと高笑いする私に対し、ガイは始終微妙な顔をしていたが否定の言葉は上がらなかった。
 建設費や整備費が掛かるだろうが、毎年掛かるあの城の維持費を考えれば安いものである。
 企画書を上げて、後は貴族院のやり手若手連中に任せれば勝手にやってくれる。
 細かい微調整はその都度行わないといけないが、私の案に乗ってくれる連中が居ること自体驚きではあるが。
 ガリガリと筆を滑らせていたら、
「あ……書き直しだ」
 書き損じてしまった紙をグシャリと握りつぶし、丸めて屑籠に放り投げる。
「……ルル様、お行儀が悪いですよ」
「良いですよ。外では、絶対やりませんから」
 ガイが、行儀が悪いと嗜めるものの私は笑って誤魔化した。
「書き損じたら書き直すのが面倒です」
 パソコンのようなものがあったら、今以上に仕事や情報整理などの効率化が図れるのだがこの世界にそのような便利道具はない。
 情報を記録する音素盤があるなら、パソコンあってもおかしくないのだが彼らにその発想がないのかもしれない。
 せめてタイプライターがあれば、書類作成は楽になるのだが。
 シェリダンに打診してみるのも良いかもしれない。私は、早速シェリダンの技術者宛に手紙を書いたのだった。

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