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夏の風物詩 後編 [ 7/11 ]


 毛女郎に着せられた破廉恥水着を隠すべく、結局パーカーを着る羽目になったのは言うまでもなかった。
 キャイキャイと喜ぶ子供達を余所に、部屋の隅でどんよりと暗雲漂わせながらいじける鯉伴たちが対照的で不気味だ。
 流石に可哀想だったかなぁと思った私が馬鹿だった。ちょっと仏心を出して、二人の前で着て見せたのが運のつき。欲情した獣二匹に襲われている。
「ちょっ、着てみせるだけで良いって言ったじゃないですか」
 むにゅんと大きく育った胸を鷲掴み柔らかさを堪能しているぬらりひょんに抗議の声を上げるが、聞き入れるどころか開き直られた。
「美味い身体が、目の前にあるんじゃぞ。据え膳食わねば男の恥じゃ」
 チューッと首に吸い付きながら、芯を持った乳首をキュッと摘み上げられ甲高い嬌声が零れ落ちた。
「あ、あぁ…んっ」
 慣らされた身体は、抵抗空しくあっさりと陥落してしまう。じれったい快楽に眉を潜めながらやり過ごしていると、太腿に舌を這わしていた鯉伴が水着越しに秘部を弄り始めた。
「あっ、あぁー……やだっ、ヤァー」
「イヤだって言う割には、気持ち良さそうに涎垂らしてっけどなぁ」
 鯉伴は意地悪く笑った後、指の腹でぷっくりと主張し始めた秘芽を擦り上げている。軽く絶頂を迎えた私は、くったりと身体をぬらりひょんに預けた。
「藍は、堪え性がないのぅ。その調子じゃと、明日起き上がれんぞ」
「ははっ、違いねぇ。水着が、張り付いてやらしいこといなってるぜ」
 イッたせいか、水分を含んだ水着は秘部にピッタリと張り付き形が浮き彫りになっている。
「見ないでぇ……」
 両手で隠そうとするも、ぬらりひょんに遮られて隠せない。
「藍のやらしい姿を堪能させろ」
 そう言ったかと思うと、ぬらりひょんは私の顎を掴み強引に振り向かせた。噛み付くように重なった唇は全然優しくて、食べつくす勢いで舌を絡めて来る。
「ふぅ、んんっ……うむぅ…っ」
 呼吸さえも絡め取られ、息継ぎが上手く出来ず、濃厚なキスを何度か繰り返した。
「口吸いされただけで想像しちまったのかい? これからどんな風にマンコを可愛がられるか」
 鯉伴は、ヒクヒクとひくつく秘部をなぞりながら満足そうに笑っている。
 私は発情した獣二匹に、思う存分貪られることとなった。


 その結果――起き上がることも儘ならず、布団の上で過ごすことを余儀なくされた。
「ううっ……腰が痛い」
 イキ過ぎてあらぬところが痛いし、腰は鈍痛が酷い。しかも、立つことが出来なくなるまで犯すってあんまりだ。
「マッサージしてやろうか?」
 様子を見に来た鯉伴が、ワキワキと動かす手が卑猥に映り思わず枕を投げつけてしまった。
「性感マッサージは結構です! 誰のせいでこんな状態になっていると思っているんですか。ちょっとは反省して下さい」
 キッと涙目で睨みつけるも効果はない。笑って流されて終りである。
「藍が、エロ過ぎるのが悪いんだぜ。早く子供が出来ねぇかなぁ」
「藍は、ワシの子を産むんじゃ。テメェは、引っ込んでろ」
 いきなり襖が開いたかと思うと、膳を持ったぬらりひょんの足がガスッと鯉伴の後頭部を容赦なく蹴り倒した。
「痛ぇな! 何しやがる糞親父」
「家事の一つくらい手伝いやがれ放蕩息子」
 ギャイギャイと騒ぐ二人に、私はハァと溜息が漏れた。家事を率先して手伝ってくれるぬらりひょんには悪いが、彼が荒らした台所を片付けるのは私なのだ。
 正直静かにしてて欲しいと切に願うのだが、目の前の二人は私の心情を理解することはないだろう。
「……いい加減にして下さい!」
 結局、私の雷が落ちて聞きつけたアヤと雅にしこたま小突かれ、鴉天狗の長時間説教を喰らい一週間接触禁止令が言い渡されたのだった。
―完―

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