小説 | ナノ

act14 [ 15/218 ]


 早々に珱姫を連れて逃げようかと思ったが、奴良組の下僕達による連携プレイは見事だった。
「そろそろ戻らねば、是光殿気付かれてしまう。珱姫、帰ろう」
「それならば、私がお送りします」
 一にも二にもなく珱姫の送りに名乗りを上げたのは、牛鬼と烏天狗だった。
「……ぬらりひょんの特性がないと、一発でばれると思うから無理。ってことで、送れこの野郎」
「嫌じゃ」
 ツンッと顔を反らし不貞腐れるぬらりひょんを見て、怒り具合からして鎮めなければ帰れそうにないと藍は判断した。
 取っておきというか、最後の切り札というか、あまり使いたくない技ではあるが致し方ない。
 内緒話をするかのように、ぬらりひょんの耳に口を寄せる。
「素直に送ってくれるなら、礼として口吸いくらいはしてやる。……こんな事するのは、お前だけだからな」
 藍からの口吸いは、とても魅力的な条件ではある。最後の言葉も、ぬらりひょんに揺さぶりを掛ける。
「……今回だけじゃからな」
 藍の甘言に負けたぬらりひょんは、不機嫌を治し藍と珱姫を抱え島原の屋敷を出たのだった。


 珱姫と共に公家屋敷に戻った藍は、彼女を宥めてすかして寝かせた後、約束通り居座っているぬらりひょんの相手をする事となった。
 流石に珱姫の居る前でキスをするのは恥ずかしいのもあり、私室として宛がわれた部屋にぬらりひょんを招き入れる。
 いざしようと思うと、なんだか恥ずかしくて身体が動かない。
「ほれ、してくれるんじゃろう」
 からかいを含んだぬらりひょんの急かすような声に、年甲斐も無く頬を赤らめ渋々彼の唇に己の唇を重ね合わせた。
 薄く形のいい唇にペロリと舌を出し舐めてみる。
 誘うように開かれた唇に舌を差し入れ、ぬらりひょんに教え込まれたように舌を使い絡め合わせた。
「んんっ……ふぅぁ…ん、……」
 ピチャピチャと淫猥な音を奏でながらも、藍は心地よいキスに身を委ねていたが、それもぬらりひょんの手が単の襟から入ってくるまでの話だ。
 胸をひと撫でしたかと思うと、本格的な愛撫を加えようとするのを察した藍は、ぬらりひょんの鳩尾に膝を入れ何とか逃れる。
「ぐっ……何する」
「病み上がりの人間を襲うつもりか!?」
「健全な男が、口吸いだけで満足できるわけなかろう」
「そんなもん気力と根性で押さえ込め! 俺を殺す気か」
「無理じゃ! そんなのが出来れば苦労せん」
 ぬらりひょんは、暫くの禁欲生活に終止符が打てると思っていただけに藍の拒絶は大きな痛手となった。
 花街に行って抜いて来いと言いかけた藍だったが、ぬらりひょんの表情を見て何とか言葉を飲み込んだ。
 こんな情けない顔を下僕達には見せられない。思わずそう思ったくらいに情けない顔をしている。
「……繋がらなくても良いから触らせてくれ」
 懇願にも近いぬらりひょんの言葉に、藍は大きな溜息を一つ零し苦笑を浮かべぬらりひょんを抱きしめた。
「挿入は無しだからな。それが守れるならやっても良い」
「分かっておる」
 藍からのお許しが出たことで、ぬらりひょんの顔がパァッと明るくなる。現金な男だ。
 覆いかぶさってくるぬらりひょんの重みを久しぶりに感じ、今まで起こらなかった性欲が一気に高まった。
 帯を解かれ、単を脱がすこともせず胸の頂を口に含み円やかな大きな乳房を揉みしだく。
「ぁん…ふぅ……ぅ、んん」
 やわやわと感触を確かめるように揉まれ、己の意思とは反して甘ったるい声が上がってしまう。
 この身体は、ぬらりひょんに開発されたも同然だから仕方が無いと言えばそうなのだが、恥ずかしいものは恥ずかしい。
「声を抑えるな」
「やな…こった」
 恥ずかしがっているのを承知の上での発言に、キッと睨みつけるがいまいち効果は薄い。
「…っ、お前という奴は人をどれだけ煽れば気が済むんじゃ」
「知るかっ…あ、あっ……ャ…んん」
 ねっとりと胸の頂を口に含まれ、アムアムと甘噛みされる。
 もう片方は、指で抓まれ捏ね繰り回された。
 ぐずりと胎の奥が疼き始める。中を掻き回されたい欲求にかられるが、強請ろうものなら明日は腰痛で起き上がれないこと必死である。
 手をぬらりひょんの下肢に彷徨わせると、勃起したそれに笑みを浮かべた。
「口でしてやる」
 ぬらりひょんの肩を押し身体を起すと、彼の股座に顔を埋め勃起した肉棒に舌を這わせた。
「っ……お主から、こうされるのは…久しぶりだな」
「んんぅ…チュパ……偶には良いだろう」
 欲求不満が溜まりすぎて、襲われた挙句、翌日仕事にならないなんて事になるのは避けたいというのが藍の本音だ。
 標準よりも大きな肉棒を口に含むのは難しくチロチロと舐めたり、手で幹を擦り愛撫を加える。
 鈴口に舌先を差し入れグリグリと押しやると、ぬらりひょんの腰が動き出す。
 イキそうになってるのが分かり、ジュッと吸い上げると呆気なく藍の口の中へ精液を放埓した。
 口の端から飲みきれなかった精液が零れる。その淫蕩な藍の表情にぬらりひょんはゴクリと生唾を飲んだ。
「……やっぱり中に入りたい」
「ダメだって言ってんだろうがっ! まだ全快したわけじゃねーんだ。俺を屍にする気か」
「………」
 捨てられた犬みたいな目で見られてもダメなものはダメだ。
「……全快したら、俺の身体好きにして良いから今はダメだ」
 大概ぬらりひょんに甘いと、藍は思った。馬鹿な子ほど可愛いというアレと一緒なのか。
「約束だからな」
「ああ、約束だ」
 無理矢理に取り付けた約束だったが、それが恐ろしく無謀な事だと判明したのは、もう少し後のことである。

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