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少女、イタズラ失敗に終わる [ 17/41 ]


 つるりとした感触に温かなそれ。ふかふかと柔らかい感触に擦り寄れば、甘ったるい吐息が耳朶を打つ。
 空耳かと思いまどろんでいたら、くすぐったいのか身を捩り今度はハッキリとした声が聞こえてきた。
「くすぐったい」
 からかうような藍の声に、昌浩はバチッと目を開ければ眼前には豊かな双丘が飛び込んできた。
 胸に顔を埋めている状態ということに気付き、声にもならない悲鳴を上げる。
「ふぁ…ぁふ、寒い夜には人肌が一番ってよく言ったものね。良く寝れたわ」
 パニックに陥っている昌浩を無視し、何事もなかったかの上に置き出す彼女の姿は全裸。
 そして、昌浩もまた全裸で二人仲良く寝ていたことに昨夜一体何があったのかと顔面蒼白になっている。
「藍、前隠せ!そして、恥じらいってものを持て!!」
「おかんみたいよ、物の怪。私の裸をガン見しないで頂戴。お金取るわよ」
 ギャイギャイと喚く物の怪に、藍はシレッとした顔で受け流している。一見いつもと変わらないやり取りなのに、彼女は全裸である。そう全裸なのだ。
「何で? 何なんだ? 何があったんだ?」
 状況に一人ついていけない昌浩は、必死で何とか状況把握をしようと昨日の記憶を掘り起こしてみるも悲しいかな、いつものように寝た後は覚えていない。
 それもそうだ。寝ているのに自分の行動を覚えている方が異常なのだ。
「……藍さん、昨夜は一体何があったんでしょーか?」
 当事者である藍に問い掛けてみれば、彼女は頬を赤く染め昌浩の視線から逃れるように顔を逸らして言った。
「……痛かったけど気持ちよかったです」
「やっぱり襲ったの? 最後までヤッたの? 嫁入り前の女の子に何てことをぉぉお!!」
 頭を抱えて苦悩する昌浩に対し、物の怪はハァと大きな溜息を吐いていた。
「そんなわけねぇだろう。大体、お前が高淤神に憑依されても気付かずグースカ寝ているから悪いんだ」
「なにそれ!? 藍、高淤神に憑依された俺と契ったの?」
 藍に掴みかかり問い質す昌浩だが、その姿は全裸と滑稽だ。藍も顔を引き攣らせている。
「冗談に決まっているでしょう。馬鹿言ってないでさっさと着替えなさい」
 眉間に皺を寄せながら否定する藍の言葉を聞いて、昌浩はホッと安堵の息を漏らした。
「……良かった」
 自分の預かり知らぬところで藍を襲っていなかったことに対しての安堵だったが、藍はそうは受け取っておらず始終不機嫌そうな顔でその日一日を過ごしたのだった。

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