dilapidated…
ガトーさん、僕のこと、嫌いなんだって。
はらはらと、涙腺が壊れたようになき続ける青年は、整った見目もあわせてか、酷く痛々しい印象をこちらに与えてくる。 想い人に嫌われてしまったと、そう言ってここに来たとき、既に彼の目は真っ赤だった。滅茶苦茶に擦りでもしたのだろう、すっかりうさぎのような目をした彼は、ことの顛末を話し始めてすぐにまた泣き出した。 冒頭の言葉から始まったその独白は、どうしようもない痛みを必死に吐き出そうとしているようだった。そうすることで、どうにかして痛みに喘ぐ息を整えようとするかのように、血を吐くような痛切さで紡がれていくその言葉たちを、薙杜は黙って聞くことしかできなかった。
いつから嫌われてたんだろう。ガトーさん優しいから言い出せなかったのかな。嘘ついてたなんて思わないけど、僕が思い上がってただけなんだろうな。自惚れって恥ずかしいね。 ……とくべつに、なれたと、おもってたんだけどな。 あんなにやさしいひとに嫌われちゃうんじゃあ、もう、誰も、僕のことなんか、好きになってくれるわけ、ないじゃん。 またひとりぼっちかぁ。あぁもちろん薙杜とかも居るけどさ、……そうじゃ、なくてさ、……やっぱり、吸血鬼なんかが、居場所を欲しがっちゃ、ダメだったのかなぁ。
BadEnd…?
dilapidated(こわれかけ)
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