04
【嗚呼、どうして好きなんだろう。】
「なぁなぁ、お前彼女いる?」 突然の質問に、むせた。 「ぅお、大丈夫かー。」 「あぁ……恋人な、居るよ。」 「うわまじか。……どんな子どんな子?」
にやにやしながら聞いてくる友人。 答えに窮する俺。 男だなんて、口が裂けても言えない!
「おーしーえーろーよー。」 じりじりと迫ってくる友人に、冷や汗を流した。 俺は押しに弱いんだ、自覚してる、このままではまずい。 などと考えていたら、後ろから声がした。 「そうだなぁ、」
「思わず抱き締めたくなる感じ?」
「うわぁっ?!」 言葉と共に後ろから抱きつかれ、思わず声を上げた。 「なっ……は、灰谷っ!?」 「やあ慧さん、困ってるみたいだね?」 「お、慧の弟分じゃねえか。」 「こんにちは先輩。」
友人の意識が逸れた。ほっと一息 「なぁ澪、慧の彼女ってどんな奴か知ってるか?」 ……できない! ちょ、ま、本人!
「あー、慧さんの恋人?知ってるよー。」 ああ、すごい笑顔だ。そして、耳元で囁かれる。 「どう答えてほしい?」 ……この野郎!俺に解答権ないじゃないか! 当たり障りない程度に、と目で伝える。 伝わらないかもだし、半分諦め気味で。
「どんな奴なんだよ?」 友人がしつこい。畜生。 「んー、見た目は凄く可愛いよ、中身腹黒いけど。」 ああ、こいつ自覚してんだ……なんかもうやだ。 「なんだそりゃ。そんな子どこで引っ掛けたんだ?」 「さあ?まあさっきも言ったけど、思わず抱き締めたくなる感じな子☆」 「??」
相変わらず煙にまくのがうまい(?)な。 不本意だけど、助かった。
……けど俺は、お前を抱きしめたいなんて、思ったこと無いぞ。
了
かわいこぶる彼のセリフ 4.思わず抱き締めたくなる感じ?
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