03
【安心できる場所。】
控えめで、極稀に音の外れる、そんな歌が俺の腿のあたりから聞こえている。 まあ、そんな鼻歌を歌っているのは澪であり、その澪の頭が俺の足に乗っている、というだけなのだが、 「……灰谷、足痺れてきた。」 「頑張って慧さん。僕の課題のために。」 この野郎、どく気は皆無ということらしいな。
何故俺がこんな、膝枕などというものをしているのか。それは、澪が突然言い出しただけだ。 曰く、「ちょっとレポートの構想練るから膝枕してよ慧さん。」……全くもって意味がわからない。
「お前の甘え癖は何処から来たんだよ。」 「やだなあ、癖なんかじゃないよ。」 澪は苦笑して、
「周りが甘やかしてくるだけだよ。」
さらりとムカつくことを言い放った。 「……俺は甘やかした覚えはないぞ。」 そう言うと、そんなことないよと笑う。 「今だってほら、落としたりしないじゃない。」 ああ、確かにそうかもな。 なんだかんだ言って、甘いのかも、な。
了
かわいこぶる彼のセリフ 3.周りが甘やかしてくるだけだよ
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