「なぁアルミン。こないだナナシ分隊長に呼び出されてただろ?なに話してたんだ?」


やって来るなりそう切り出してきたコニーに、アルミンはゆるく首を振って答える。


「あれは僕に用があったんじゃなくて、ただ呼びにきて貰えただけだよ」

「どういう事だ?」

「会わせてもらったんだ、エレンに」


三人でゆっくり話せる機会を作って貰えた。
ずっとそわそわしていたミカサを思い出す。
エレンは僕たちを見て、少しだけほっとしたような表情を浮かべて、なんだかまた久しぶりだな、と笑った。


「意外だな。そんな事してくれそうには見えねぇっていうか、俺達なんて眼中にねぇ感じなのかと思ってたぜ」

「そんな事はないよ。話してみればいい人だったし、ミカサだって頼りにしてるんだから」

「ミカサが?」


へぇ。という、驚いたような、感心したような声をコニーが出す。
僕もあの時は驚いた。

訓練中にミカサとナナシ分隊長が一悶着あったと聞いた時には心配したのだけれど、それもどうやら誤解だったらしい。
いつの間にか仲良くなっていたようだし、あのミカサが、エレンの為だとは言え誰かに力を借りる、なんて事をするとは思わなかった。


「それはまたすげぇな」

「そうだね。…うん、なかなか無い事だとは思うよ」

「そもそも兵士長も分隊長も、なんつーか見た感じからして近寄りがたすぎるんだよな。どんだけキャラ立ってんだって感じでよ」

「確かにみんな…なんて言うか、個性的だよね」

「オレ…一番怖いのはリヴァイ兵士長だけど、二番目はナナシ分隊長だと思ってたぜ」

「…僕も、前まではそう思っていたかもしれない」


あの日。エレンとミカサと、リヴァイ兵士長の事で話していたあの時まで。
物凄く焦ったし肝も冷えたけれど、ナナシ分隊長の反応は全く予想だにしないものだった。
あんなに優しく笑える人だとは、思ってもいなかった。


「そう言えば、エレンはどうだったんだ?」

「元気にしてたよ。リヴァイ兵士長とはまだ打ち解けてないみたいだったけど」

「それはさすがに難しいだろ」


そう言って笑うコニーにつられて、アルミンも笑みを溢す。

難しい事ばかりだけれど、エレンも頑張っているんだ。
僕もまだまだ頑張らないと。

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