君がコナンくん(後)
「名前!いいところに!ねえ、この子、新一にそっくりじゃない!?」「へ…?うおお!ちっちゃくなってる!」
「え…?」
「でしょ!!新一の小さい頃にそっくりなのよ!」
「やっと会えた!君がコナンくんだよね!」
「「!!?」」
「名前、知り合いなの?」
「知り合いも何も……あ…」
しまった、うっかりやってしまった。気付かなかった自分がアホだ。冷静に考えたら、今日は蘭と工藤くんがトロピカルランドに行った日なんだ。日も暮れた頃、蘭から切羽詰まった電話が掛かってきて、工藤邸に向かうように言われた。そして入った途端見えたのは、かの有名な「見た目は子供、頭脳は大人」のコナンくんだったのだ。彼に会う日を待ち遠しく感じていた私。やっと会えたことに興奮して、この世で誰も知ることのないはずの、たった今造り上げられた「コナン」の存在を、あたかも知っている素振りで話しかけてしまった。怪しすぎる、私。
「名前の親戚?」
「ううん…はじめま」
「う、うわ〜!名前お姉さん、久しぶり!」
「(げ!わかんないけどなんかノッてきたし!)」
「名前君も、ひ、久しぶりに会うじゃろう…な!な!」
「ボクと名前お姉さんは、お母さんの従兄弟の祖父の兄のはとこの孫の繋がりがあるんだ!」
「…じゃあ、名前は博士とも遠い親戚だったってこと?」
「そ、その通りじゃ!」
勝手に親戚に設定されてしまった。元はと言えば、口を滑らした私が悪いのだけど。っていうか、怪しい発言した私を、組織の人間と思わないのか。そもそもちっさい子が家系図つらつらと述べるとか、ありえないから。けど、みんなそれどころじゃないみたいで、コナンくんとか必死で話し合わせてくれオーラ出しまくってる。
「し…親戚ってのは知ってたけど、会うのは初めてに近いよねー!コナンくん!」
「うん!ちょっとだけ会ったぐらいだよねー!」
「どうじゃ、蘭君、怪しい子じゃないじゃろ?新一君とは無関係じゃ!」
「うー…名前の親戚…そうよね、似てるだけ、よね。私の思い込みすぎだったみたい」
「蘭の誤解も解けたし、これからよろしくね、コナンくん」
これが、私とコナンくんの初対面の会話だった。このあと、私はコナンくんにこってりとお話しをくらう羽目になる。