君がコナンくん(中)
「なあ名前、トロピカルランドってそんなに楽しいのか?」「うっわ、トロピカルランドの面白さを知らないなんて…工藤くん、今全国の女の子を敵に回したね」
「わかんねえから聞いてんだろ!?」
「またまた…ん?…あ、そっか。確か…都大会で優勝する蘭を連れて行くんだっけ?」
「…!?え…何でお前、そのこと知ってんだ…?」
「え…あれ、言ってなかった?」
「言ったも何も…今思い付いたんだぜ?」
「……ほら、アレだよ!君の心はお見通しだとかそういう!」
「バカ言え鈍感女」
いよいよ、工藤くんがコナンくんになる時が近づいた。蘭とトロピカルランドに行って、そして工藤くんはコナンくんになるんだ。詳しいことは知らないけど、いよいよコナンくんに会えるのである。
本人達は一大事なのかもしれないが、私は物語として知っている。即ち他人事なのだ。困ることを知っていながら、とも思うが、長いものには巻かれろ、私は紙の上の登場人物になったのだ。このストーリーにはまりこみたい。
「とにかく、あそこは楽しい。デートに最適」
「じゃあ今度行かねえか?」
「私、蘭に恨まれたくないから却下」
「なんで蘭が恨むんだよ」
「応援してるからだよ、私が」
「だから何の話だよ…オレと会話してくれ」
「大丈夫、蘭と工藤くんは既にくっつく一歩前だから」
「何で俺と蘭が!勘違いすんなよな!」
「はいツンデレきたこれ!ごちそーさまです!」
とりあえず、こんな馬鹿な日常を過ごしながら私は今を生きてます。漫画の登場人物とは思えないし、彼らもただの人間だ。『今』が私の『現実』。これは受け入れられてるよ。でも、『過去』の『漫画』を実際にこの目で見たいと思ってるのも、本音なんだ。