君がコナンくん(前)
「こんにちはー!蘭ー!頼まれてたお菓子持ってきたよ!」「おー、名前ちゃんか。蘭なら今日は探偵ボウズとどっか行ってんぞ。なんでも、都大会優勝記念だとかでな」
「あ…!そっか、今日は工藤くんとトロピカルランドに行ってたっけ…」
「くそ…娘も馬も俺を裏切りやがって…!」
「競馬ですか?」
「まーたハズレだよ」
「そんな日もありますよ。あと、蘭もたまには自由にしてあげてもいいんじゃないですか?」
「…名前ちゃんがいうと妙に納得できるな…そうだな、偶にはそんな日もやるかねえ」
「誉め言葉として受けとりますね」
「お菓子、預かろうか?」
「いえ、蘭とお話ししたいこともありますから、待ちます」
「そうか。もう外も暗いし、夕飯でも食ってくか?…って言っても何かあったかな…」
「お言葉に甘えて…夕飯、よろしければ作りますが…毛利先生は肴の方がいいですかね」
「おっ、じゃあおじさん頼んじゃおっかなー」
「はい、それではを食材お借りしますね」
私としたことが、蘭が居ない日に探偵事務所を訪れてしまった。お菓子は相談のお礼のつもりだったし、そもそも相談というのも一人暮らしで寂しいから遊びに来ただけである。
と、ここで重大なお知らせがある。一人暮らしとはいったものの、元来私はこの世界の住人ではない。気が付けばこの『名探偵コナン』の世界にいた。気付けば一人暮らしをし、帝丹高校に通っていたということだ。
正直、この漫画があることは知っていたが、高校生の工藤新一が子供になりコナンとなっていること、幼なじみに毛利蘭がいるということしか知らないのだ。だから世界観も何もないのだが…。黒い人に気を付けなければならないことは知っている。
私はまだコナンくんに会っていない。そもそもまだ工藤くんが高校に通っている時点で、コナンくん会えるはずがないのだ。偶然にも、というより運良く、蘭と仲良くなることができた。私はコナンくんにいつ会えるのだろうか。