嫌いを好きにする方法 | ナノ

攻防戦(後)

「なんで事務所で二人きりなんだよ!」

「ちょ、工藤くんうるさい」

「蘭にキャンプ場から帰る連絡いれたら、事情も言わず安室さんの邪魔すんなって…」

「別に邪魔とかそんな…ないんだけど。むしろ工藤くんの登場、神だった」

「お前を心配してんだぞオレは!」

「心配はありがたいけど、私安室さんとは親しくはないし…」

「お前はそうでも安室さんは…」

「容姿がいいのは認めるけど、どこか掴めなくて怪しいから警戒してるよ」

「まだあの人は得体が知れないから油断すんなってあれほど言ったのによ…二人きりとか」

「もしもし、人の話聞いてる?」

「安室さんはお前に何か仕掛けてきそうだし」

「(既に仕掛けられたなんて言えない…)でも私なんか狙っても…ねえ」

「オレの正体知ってる時点で危険だろ」

「勝手に知らせたの、工藤くんじゃん…」

「あ、あれは…灰原がお前には事実を知らせろって言ったからだよ。つーかお前、元から知った口利いてたじゃねえか」

「…まあまあ、私のことは置いといて…警戒心強い灰原ちゃんが?」

「何でかはわかんねーけどな、曰く苗字さんに伝えておいてハズレはないんだと」

「んー…私、あの子と仲良いつもり」

「まあ、危険を犯してまで知らせろっつーくらいなら、灰原にも考えがあるんだろ」

「キャンプ、灰原ちゃんも一緒だった?」

「いや、今回は留守番」

「じゃあ博士の家に着いたら話してみよっかな」

「ああ」

「安室さんには申し訳なかったけど抜けてきて良かった」

「蘭、勘違いしてんだろ。お前が安室さんと話さない理由」

「絶対。絶対勘違いしてる」

「アレだろ?最初に会ったときから嫌いなんだろ、安室さんのこと」

「胡散臭い感じがね。でも蘭…私が安室さんと話さないのは、私は彼のことが好きみたいに思ってるっぽい」

「女の勘は使えねえな」

「恋バナで安室さんの話題を出してくる度に蘭が悪魔に見える」

「なんだそれ」

「あ、でもいつもは工藤くんに一途な天使だけどね!」

「はあああ!?お、おまえっ!なに、勘違いして!!」

「照れなくていいんだよ…今更。大丈夫、元に戻れば結ばれる!応援してるんだよ本気で」

「(オレがここまで言って気付かねえとかお前の勘も宛になんねえんだよ!)」

「(工藤くん不憫だもんな…)結婚式には呼んでほしい」

「(お前と式挙げてえっつったら殺される気がする)」

「それに私は安室さんが嫌いでも、アメリカに行っちゃった本堂くんが好きだからなあ…」

「…安室さんが可哀想になってきたぜ…」

「んー…ま、いいでしょ。あーあ、気持ち伝えれば良かったな」

「…?あれ?これ、オレ、失恋してねえか?」

「えっ、工藤くん失恋したの?両想いなのに?」

「……オレお前と会話できねえわ」
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -