嫌いを好きにする方法 | ナノ

おめざめの現在(中)

「で?名前が急に漫画に興味を持った理由を教えてくれるよね?」

「ああ、うん。大したことじゃないんだよ。昨日の夢が、コナンくんの世界だった」

「…左様か…え、そんだけ?」

「いつもに増して苗字ちゃんがぶっ飛んでる」

「それだけじゃないんだって!主人公とかと話しちゃってさ…なんか漫画が気になってくるよね」

「おめでたいね(頭が)」

「かっこの中聞こえてんぞ」


友人二人に漫画喫茶に連れていってもらった帰り、尋問受けてるなう。ちゃんと内容は話した。しばらく私は向こうの住人だったと。工藤くんと蘭と友達で、ちっちゃくなる前後の工藤くんを見守ってたとか、コナンくんに会えた感動で、教えてもらっていない名前をついぽろっといってしまったとか、モブキャラであろう彼に恋をしている、とか。


「まあ漫画読んでなくてそれだけの知識があったことはほめてやろう」

「いいなー、うちも苗字ちゃんみたいな夢見たい」

「っていうかさ、恋?したの?」

「しちゃ悪いのか」

「あんた…旦那がいながらに…」

「待て、私は旦那はおろか彼氏すらいないよ」

「…うわ、可哀想な…」

「それ以上いっちゃだめ。これは名前本気でわかってないパターンだから」

「イエッサー」

「本人置いて会話しないで。え、何、私が何かした?」

「フッ…」

「二人してなにそんな暖かい目で見てるわけ」


もう友人たちが謎過ぎてちょっとついていけない。実際は昨日だけだけど、帝丹高校生を長きに渡り満喫していた気でいる私にはタイムラグがあるようで。この二人と休日を過ごすのが当たり前だったはずなのに、今ちょっとだけ蘭や本堂くんに会いたくなった私は薄情者だろうか。


「今日は急なことだったし、漫喫に1時間しかいなかったけど、漫画読めた?」

「三巻ほど。最初のとこはところどころ体験したから分かった」

「新一に会ったとか羨ましいなー」

「まさか工藤くんがこんな事件とか苦労とかしてたなんてね…続き気になる」

「気に入ったみたいだし、また名前連れて遊びに来よう」

「早く読破したい」

「うち映画のDVD持ってるし、見ようよ!そうだな、二十巻くらいまで読んだら」

「あ、賛成。灰原さんのこととか知ってた方がいいしね」

「灰原ちゃんにも会ったんだけど」

「はあ?もう…名前の頭最強だな!ちょっと今日脳みそ交換しよ」

「無理…!」


聞いてびっくりしたけど、灰原ちゃんってそんなに後に出てくるんだ。工藤くんがコナンくんになってから、結構すぐに会った気がする。なんだか不思議な感じだな。まあ漫画なんだし、時間軸とか気にするものじゃないんだろう、うん。

そのまま何十巻も時間が進んでいるとして、何年も小学生であり続けるなら、工藤くんはきっと高校卒業どころか進級すらできない。某国民的アニメの海の家現象ってことで自己完結。
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