嫌いを好きにする方法 | ナノ

噂の安室さん(後)

「名前お姉さん、次はこの問題教えてほしいな!」

「うん。コナンくんは勉強熱心で賢いね」

「お姉さんが教えてくれるからだよ」

「ありがとうコナンくん!」

「……」


待ちに待ってない土曜日。とりあえず安室さんにこじつけられた約束を果たしに毛利探偵事務所を訪れた。蘭も今日は部活がないらしく、今は毛利先生と夕飯の買い出しに行っている。安室さんさんが「今日は彼女と勉強をするんです」と私を指差し余計なことを言うので、蘭がニヤリとしながら先生を連れて外出したのだ。一体私が何をした。

このままでは私は安室さんと勉強をしなければならない。しかし!天は私を見放していなかった。私にはコナンくんもとい工藤くんが付いている。警戒対象の安室さんと二人きりになるような馬鹿な真似はしないのだ。


「…コナン君」

「なあに?安室さん」

「あのですね、彼女は今日僕と勉強するんですよ」

「?今一緒に勉強してるよね、三人で」

「いえ、だから…お姉さんに難しい勉強を教えるので、コナン君は友達のところに遊びに行ってはどうです」

「えー…でも…」

「安室さん!勉強はできたらという約束でしたし!今日はコナンくんもいるので私はコナンくんと勉強しますね」


安室さんが作り笑いのまま固まった。なんだかとても面白い人だ。決して好きではないけれども。


「コナン君、あざといですね」

「…名前お姉さん、あざといってなあに?」

「えっ…あざといは…あれ、あざといって何だっけ。あざといはあざといだよ!」

「その単語もわからないなんて、やっぱり僕とお勉強する必要があるようですね」

「(工藤くんアシストミス!なんか墓穴掘った!)」

「(じゃあやけくそだ!)ぼ、ボク、名前お姉さんと勉強したいからだめだよ!」

「あざと可愛いな!コナンくん!」

「だから、あざといの意味を説明してください。できないなら、僕と共に」

「ただいまー!」


安室さんの言葉を遮るちょうどいい感じで蘭と先生が帰ってきた。君らまじ最高。ちらりと横に目をやると、僅かに目が凄んでいる安室さんが。うわお、怖いな。


「名前、どう?進展した?」

「ほんと、元凶は蘭だったのかって疑いたくなるわ…」

「すみません蘭さん。特に何事もありませんでしたよ」

「蘭姉ちゃん、ボクたちきちんとお留守番してたよ!」


言ってることが三者三様である。なぜ安室さんが蘭に謝っているのかはわからないけど、どうやら二人はグルだったみたいだ。まじこの子何がしたいの。ああアレか。「名前が安室さんとくっつけば新一は私のものよ!」とかそんなやつか。大丈夫心配しなくても私は工藤くんを恋愛対象として見てないし、そもそも彼はとっくに蘭のものだから。


「名前ったら照れ隠ししなくてもいいのよ!」

「ごめん、蘭こそ心配しなくていいよ」

「…!なら僕と二人…!」

「まあ!ってことは、お互い脈アリで恋び」

「ううん、工藤くんはとっくに蘭のものだし、心配しなくても女狐の如く盗ったりしないから」

「え?名前、お姉さん…?」

「あ…違うの名前、安室さんのことで」


安室さんへは定番のスルー。というか今の会話に関係ないよね?問題は蘭と工藤くんだから。まあ、なんだか知らないけど工藤くんはこの世の終わりを見た表情だし、安室さんは灰になってる。先生はデスクで競馬のチェックで、蘭は絶句して口をパクパクさせてる。皆おかしい。蘭に一言声を掛けて、私はお手洗いを借りることにした。


「あ…名前、行っちゃった…。安室さん、名前、か・な・り鈍いけど、辛抱強く待ってください…」

「なんで僕はこんなに嫌われてるんでしょうか」

「多分照れ隠しだと践んでるんですけど…」

「(は?オレは、名前の恋愛対象外?…つーかオレが蘭に好意を向けてるっていう誤解は、まだとけてなかったのか…)」
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