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「池袋―…池袋―…。」

車掌さんの声と同時に私は電車を降りた。
えーっとどっちへ行けばいいのだろうか、少し周りを見てみると
私と同じ上京してきたのだろう少年が人にぶつかり誤っていた。
そんな姿を微笑ましく思いながら私は出口へと急いだ。

「おぉ…これが我が家…。」

初めての一人暮らし、この家がすべて私の自由にしていいと思うと
なんだかテンションが上がってくる。
すぅー…と深く息を吸い込む。少しほこり臭い
部屋は少しこだわった、一人暮らしとはいえ狭いのは嫌いなので二部屋はある、
風呂とトイレも別々なのは前提。
日当たりは悪いが中々いい部屋を選んだと思う。
明日に備えてもう寝るか…。


次の日。それはもう見事な晴天だった、
春らしい穏やかな気候。まさに入学式日和
校長の声を聞きながしながらぼーっと周りを見ていた、
隣を見るとずいぶん真面目そうな容姿ととんでもない巨乳、これは男子がほうっておかないだろうなーっと心の中でつぶやく。
そこで、ある視線に気が付いた、恐らく教師。
この子をずいぶんいやらしい目で見ている、
瞬間気持ち悪いと思った、

「…忘れよう。」

私は幼いころから少しでも嫌なもの、嫌なことがあると私自身に暗示をかける。
『忘れよう。』と、
そうすれば忘れてしまうのだ、本当に
いや、頭の片隅には残っているのも知れない。
だが、どうもそれを思い出せない
でもそれは嫌なことだろうとわかっているので思い出す必要もない

校長の話が終わるころにはもう、何が嫌だったのかなんて忘れていた。
何故、忘れているのに忘れていることがわかるのか?、と聞かれると
印がある、手のひらに爪の食い込んだ後がある。
ストレスを感じると拳を強く握ってしまう、
別段珍しい癖でもないだろう。
だがこの跡があると私は何かにストレスを感じ、そしてそのストレスを根本から忘れたのだとわかる。


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