05  




「あれが…スタン、ド…。」
現実離れした戦いが目の前で起きている…
信じられない光景にただただ名前は瞬きを繰り返す。

「花京院!これがお前のスタンドか
緑色で筋があって、まるで光ったメロンだな」
花京院、といわれた敵の男。
そいつにむけたその罵倒が実にユーモラスで
この殺伐とした状況下の中にあるにもかかわらず名前はクスリと笑いを零してしまう。

「引きずりだしたことを後悔することになるぞ…ジョジョ」
少し悔しそうなその顔。
顔には指でも食い込んでいるような跡が見える。
先生から出てきた緑色のスタンド。
そいつを見てみるとそれと同じ個所をあのジョジョから出てきたスタンドががっしりと指を食い込ませている。
どうやらあいつらが持っているスタンドは持ち主自身。スタンドに何かあれば持ち主にも影響がでるらしい。
承太郎と花京院の睨みあいを冷汗交じりに見ているとなにか液体が噴き出る音が聞こえる。音の主は花京院のスタンド。なんとそのスタンドから緑色の液体がでている
それに関しては承太郎も驚いている様子だった。
だとすると承太郎の霊にはない能力で、あの光ったメロンの持ち前の技なのだろう。

「くらえ、我がスタンド『法皇の緑』の…」
「花京院!妙な動きをするんじゃァねぇ!!」


『エメラルドスプラッシュ!!』
その言葉と共に光ったメロン。いや『法皇の緑』といったか。
そいつから出ていた液体が勢いよく飛び出し、それは個体となりこちらに飛んでくる。
文字通りエメラルドのような堅い個体が銃弾のようにジョジョを攻撃し、
その勢いで承太郎は保健室のドアに吹っ飛ばされ、激突した。
あの巨体をここまで吹っ飛ばすほど…いや壁が無かったらもっと吹っ飛んでいたかもしれない。
花京院はカツカツという足音とともに承太郎へ近づくmこちらなんて気にしちゃあいない。あいつにとっては自分など攻撃対象にもなっていない事実に名前は怒りが湧く。

「我がスタンド、「法皇の緑」の体液に見えたのはは破壊のエネルギーのヴィジョン!
キサマのスタンドの胸を貫いた。よって、キサマの内臓はボロボロよ」
「ぐっ…」
「そして…その女医も!」
先生はスタンドを口から引きずり出し、
助かったとばかり思っていたがいきなり血を吹き、倒れた。

「のど内部あたりを出るとき、傷をつけてやったんだ
お前が悪いのだ、ジョジョ。お前の責任だ!」
何を言っているんだこいつは…承太郎は先生を助けようとしたじゃあないか
自分のしていることを棚にあげ全てを承太郎のせいにするなど許せない。
名前はユラリと花京院の背後に立つ。

「いいや。悪いのはお前だぜ花京院さんよォー!
喰らえ・・・、波紋疾走―ッ!!」

名前は特殊な呼吸法をしながら花京院を殴った、
ただの女の拳、と油断していた花京院はもろに右頬に拳がめり込まれた。
深く拳は食い込み口内が切れ、花京院の口から血がでた
おまけにこの女の拳はやけに痛い。花京院は驚いて名前の方へ体を向け、エメラルドスプラッシュをかましてきた。

「ぐあァ…!!」
無数かと思えるほどのエメラルド。
防御しようにも時すでに遅く、名前は無残にもその場に倒れた。

「ふん、敗者が…」
波紋で傷口を癒そうにももう呼吸が乱れて波紋を練れない。
あーこれならジョナサンの言う通り修業でもするんだったなぁ
だが名前の目的は花京院を倒すことじゃあなかった。
承太郎が立ち上がるまでの時間を稼ぐことだった。
承太郎はゆらゆらと立ち上がり、血を吐きながら花京院をジトリと睨む。

「なるほど、あのままだったら私はお前に立ち上がる隙など与えずに攻撃をしていたからなあ。この女はお前の恋人か何かなのか?
やけにお前に献身的じゃあないか。」

倒れている名前は微かに意識はまだあるものの痛みで動けない。
出血のせいか頭痛がしてきた、
意識は朦朧としてきているが承太郎が無事立ち上がり
名前の前に立ったことがわかる、それを見て安心した名前はやっと意識を手放した。

「…この空条 承太郎。いわゆる不良のレッテルを張られている
喧嘩の相手を必要以上にぶちのめし、今だ病院から出てこれねぇ奴もいる
威張るだけの能無しに気合を入れてやった教師もいる、もう二度と学校にはこねぇ
料金以下のレストランには代金を払わねえなんてしょっちゅうよ。」
承太郎は血だらけの名前を見て、怒りに震え拳を握る
あの場面で名前が逃げずに戦ったことに、承太郎は心打たれた。

「だが、こんな俺にも。吐き気のする悪はわかる!
悪とは!てめぇ自身の為だけに弱者を利用し踏みつけるやつのことだァ!!
ましてや女を!!キサマがやったのはそれだ!あぁ!?
てめぇのスタンドは被害者自身にも法律にも見えねぇ!
だから…俺が裁く!!」
帽子の鍔をキュッと指でなぞる。
それは承太郎の堅い意思を示した行動のように思えた。

「それは違うな、
『悪』?『悪』とは敗者のこと…『正義』とは勝者のこと…
生き残った者のことだ、過程は問題じゃあない
敗けた奴が『悪』なのだ。」
とどめとばかりにエメラルドスプラッシュを承太郎にくらわす
花京院は勝利を確信していた、もはや自分が負けるなどあっちゃあならないとさえ思った。

「…なに?敗者が悪?
それじゃあやっぱり…」
承太郎が余裕そうにそう呟くも
エメラルドスプラッシュの勢いは落ちず、またこのまま貫くのかと思いきや。
承太郎のスタンドは腕を振り上げエメラルドスプラッシュを跳ね返した。

「テメェのことじゃァねぇか!!」

『オラオラオラ』と叫びながら承太郎の幽波紋はハイエロファントグリーンの首をブンブンと振り回せば、花京院の首から大量の血が噴き出た。

「裁くのは…俺のスタンドだァーッ!!!」
拳を何度もハイエロファントグリーンの顔面に送り出し、最後にはアッパーを食らわすと
学校全体の窓ガラスは割れ、花京院の全身からさらに血が噴き出た。

「さっきはを不意喰らって、ちょいと胸を傷つけただけだ
軟なスタンドじゃなくてよかったが。しかし、ますます凶暴になっていく気がするぜ
危ないところだった。」
これだけスタンドを自由に使っていても、スタンドに対する信用はまだないらしい
承太郎は横のスタンドを凶暴と言い放った。

「手当てすれば先生は助かるが…
この女は随分派手にやられたように見える。」

ジリリリリ!
保健室にある火災ベルが煙に反応してなっているらしい、
教師が急ぎ足でこちらへ向かってくる。
早くここから出なければさらに面倒事が増えるというのは一目瞭然だろう。

「先生はそいつらに任すか
こいつはスピードワゴン財団に頼もう…。」
名前と花京院を担ぎ、保健室の窓から飛び降りた。
承太郎が家まで二人を運んでいる間、名前はまた夢を見た


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