「――たさん、土方さん!」
「お前は生きろ、ナマエ、」
「嫌、嫌だよ!おいて逝かないで!」
「頼む、泣くな…」
「土方さん…!」
「!…ハァハァ…っ」
自分のデスクで仕事をしていると、急に眠気が襲ってきて…眠っちゃいけないと必死に耐えていると…あの夢の断片が頭の中に流れ込んできた。男は確かに「ナマエ」と言った。女は確かに「土方さん」と言った。
頭がひどく混乱して、涙が出てきた。…仕事中だ、早くどうにかしないとみんなに迷惑がかかる。誰にもばれないように涙を拭ってもう一度パソコンに目を向けた時だった。
「ナマエ?大丈夫か」
「え?」
「なんで泣いてるんだ、」
「いや、あの…」
「ちょっと付き合え」
「え?」
土方さんが私を心配して給湯室へと連れ出してくれた。…のはいいが、気まずくて話すことが出来ない。
「なんかあったか」
「いえ…急に眠くなっちゃって…それで少し変な夢を見ちゃって、」
「総悟が言ってたあれか」
「何か聞いたんですか?」
「お前が小さい頃から頻繁に見る夢がある、ってな」
「夢の中に、土方さんそっくりな人が出てくるんです。だから初めて会った時も初めてな気がしなくて、」
「…俺もだ」
「え?」
「俺もガキの頃から何回も同じ夢を見るんだ。俺が死にかけてる時にしらねェ女が泣いてやがる。その女の顔を見ようとすると目が覚めて、結局顔も分かんねェままだった。」
「……」
「でもお前に会ってからその夢の中の女の顔が見えるようになって、それがお前の顔で、」
「すごい偶然ですね、私と同じ夢、なんですかね…」
これが本当に前世の記憶だとしたら、私達は一体……‥
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