「ナマエ〜昼飯でも行くかィ?」

「あ、総悟君!ちょっと待ってて」

「早くしろよー」

あの夢と現実の違和感を掴むことが出来ないまま、結局数カ月がたった。仕事にも随分と慣れ、同じ部署のみんなとも少しは仲良くなれた気がする。特に同い年の総悟君とはこうやって一緒にランチに行ったり、仕事終わりに飲みに行くほどの仲になった。

「お前最近なんか悩んでるのかィ?」

「え?どうして?」

「土方コノヤローが言ってた。俺が話してもいつも上の空だって、」

「そ、うかな…」

「…なんかあったんだろィ?」

「うーん…」

夢の話をしていいのかどうか迷った。話したところで信じてもらえないだろうし、だからどうしたと言われればそれで終わりだ。

でも、何かヒントを得ることが出来ればいいと思って、出来心で私は総悟君に夢の話をしたのだった。

「…どう思う?」

「どう思うって…、」

「やっぱりただの夢だよね」

「…もしかしたら前世とかなのかもしんねェな」

「前、世?」

「なんか悔いが残ってたのかも知れないねィ。だから生まれ変わったのかも、」

「生まれ変わり、かぁ」

「ただの可能性だぜィ?」

「うーん」

総悟君の話に妙に納得している自分もいることは確かだ。あの夢が本当に前世の記憶なら…あんな悲しい別れ方をしたなら、悔いが残るの必然だろう。


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