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15

「んー…」

「十四郎さん?」

「んー…」

「ちょっと、人の体見ながら唸らないでくれます?」

「お前さ、」

「なんですか」

「肉付きが良くなったな」

…何てことを言うんだこの人は。そりゃそうだろ、お腹にもう一人抱えているんだから二人分の栄養取っても良いだろう!やっぱ母親の貫録がどうたらこうたら言いながらニコニコしてる十四郎さんを見ると文句を言う気は無くなったのだが…好きな人に太ったと言われて平然としていられるほど図太い神経でもない。あれ?もうすでに図太いって?ぶっ飛ばすぞコラ。

ともかく、だ。いくら愛する息子(仮)の為だとしても…なんか食欲無くなって来た。どうしよ。

「あれ?名前、こんなところでどうしたの?風邪ひくよ?風邪なんて引いたら大変なんだから部屋に戻りなよ!っていうか戻ろう今すぐ戻ろうお腹の赤ちゃんが心配だ」

「山崎…私の心配はしてくれないんだ」

「何捻くれたこと言ってんの。さては副長と何かあったでしょ」

「太ったって言われた」

「そりゃ…お腹に人間抱えてんだからちょっとくらい仕方ないでしょ。でも言うほど変わらないと思うけどなー」

「赤ちゃんの為だと思って今までご飯いっぱい食べすぎたのかな」

「それが当たり前なんだから気にしちゃダメだよ」

「でも十四郎さんに言われたら気になっちゃう」

「俺的には妊婦さんはもっとふっくらしたイメージだけどなぁ」

「そんなもん?」

「そんなもん。だから名前は今まで通りちゃんとご飯食べて、ね?」

「うん、そうする」

「俺たちは名前が元気な赤ちゃん産んでくれるの楽しみに待ってるんだからさ」

「山崎たまには良いこというね」

「たまにはって余計だよソレ」

「何でもいいけど少し元気でた!ありがとね」

「どういたしまして」

幸薄そうな笑顔の山崎を見てると何だか癒される。まるで…動物園のカピバラを見ている時のような(微妙な)心境だ。山崎と別れて部屋に戻ろうとしていると十四郎さんがやってきて「このクソ寒ィ縁側で何話しこんでんだ山崎コノヤロォォオオオ!名前が風邪引いたらどうすんだゴルァ!」って言いながら山崎を追い掛けて去って行った。

あとで十四郎さんと話をしていると今くらいの方が抱き心地が良くて気持ちいいから好きだと言われ、肉付きが良くなった件についてはどうでもよくなった。っていうどうでもいい話でした。


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