×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


14

俺は名前が病院に行っている間に万事屋に連絡をしていた。

「多串くんが俺に頼みごとなんて珍しいじゃないのさ、何?」

「実は…しばらく名前を預かってほしいんだ」

「は?」

想像していた通りの間抜け面で聞き返すこいつにすべてを晒すのは気が引けるが致し方あるまい。

「いや…俺としては願ってもねェっつーか、ガキどもも喜ぶが…なんでお前が俺にそれを頼むんだ」

「…最近の婦女暴行事件知ってるか」

「まァ」

「犯人は攘夷浪士だった。真選組が名前を使って囮捜査に踏み切るのを待ってた。」

「それで?」

「俺らはまんまとその通りに動いたんだ。結果…名前は浪士にヤられた」

「は…?」

「あいつが暴行されて傷つけられた」

紛うことなき事実だが、改めて口にするとやはり胸が痛む。

「待て待て待て、意味がわからねェ!」

「言ったとおりだ。俺はこれから犯人をつぶしに行く。名前のことだろうからここに居たら自分は大丈夫だ、とか俺が怪我をするからとか言って心配すんだろ」

「だからお前は突き放すのか」

「俺もアイツも…少し離れて冷静になんなきゃなんねぇしな」

「お前が頭に血が上ってるだけだろ」

「…うっせ。当然だろ。…名前には黙っといてくれよ」

「いつごろ迎えにくんの」

「全て片づけて…落ち着いたらな」

どれくらい時間がかかるかはわからない。

「ま、俺としては一生来てくれなくてもいいけどね」

「けっ、よく言うぜ」

「じゃあ掻っ攫って帰るわ」

「…悪ィ」

「…あぁ」

きっと俺もこいつも、考えていることは同じだろう。


[ prev / next ]

[戻る]