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12

いやな夢を見た。アイツが、名前が…妊娠してるっつー夢だった。そんなことありえるわけねェ。あってたまるか。

もちろんガキが出来てたとしても、名前にもガキにも何の責任もねェことくらいわかってる。問題は俺だ。名前は殺生を好む奴じゃねェから何があってもガキを生むだろう。そんな名前を見て俺は平常心で居られる自信がねェんだ。昨日のことを思い出していつかそのガキ殺しちまうんじゃねェか…なんて、恐ろしいこと考えてる。

「ハァ…」

考えても無駄だ。そんなことあるわけねェ。

「副長、山崎です」
「あぁ、入れ」

山崎が書類片手にやって来たということは、昨日のことで何か掴めたのか。たまには役に立つじゃねェかコノヤロー。

「名前からの情報をまとめて調べてみたんですが…副長、半年ほど前に攘夷浪士のアジトを一人で潰しに行ったの覚えてます?」

「…んなことあったな」

「副長が怪我して入院した時のアレです。あの時の頭は確かに捕まえたんですがね、その男の弟がどうやら生き残っていたようで、」

「俺への復讐、か」

「名前の話によると、真選組が名前を使って囮捜査に踏み出すように、俺らの管轄内でわざと事件を起こしていたようです」

「まんまと踊らされてあの結果かよ…」

「そういうことに、なりますかね…」

「ヤられるのが名前だった理由は?」

「副長が、名前を大切に思っているのであれば…副長はショックを受けるだろう、と犯人の男は名前にこぼしたようです」

俺のせい、なのか。

「山崎」
「はい」
「アジト、掴めてんだろうな」
「ええまぁ…って副長!また一人で行くつもりですか!?」
「当たり前だろ、俺のせいで名前がつらい目に遭ったんだ」
「副長…」
「他言無用で頼む。準備が整い次第、だ」
「はい‥」

……ぜってェ許さねェ。


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