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【 3 】

俺だって怒るんだからね。第一女の子の一人暮らしなのに簡単に男を家に入れるとかどういうつもりなの?そう言われてミナトも男だよって返すと俺はいいの!と何とも理不尽な答えが返って来た。

心配してくれるのは嬉しいが、私は一応世の中の酸いも甘いも噛み分けた大人なのだから問題ないだろうと思う。まあミナトは知らないから心配してくれるんだろうけど。

「任務から帰って来てこんなんだと俺の精神がもたないよ」
「私はあなたが普通に私の家に帰って来ていることに驚くけどね」
「う、ナマエの家はもう俺の家みたいなものでしょ」
「はぁ…」
「ナマエは嫌?」
「…嫌じゃないよ」
「ん!じゃあ問題ないね!」

満面の笑みで言われてしまうと返す言葉が見つからない。この天然タラシめ。

「あ、そうだ。そろそろ…というかずっと君に聞こうと思ってたことがあるんだ!ナマエはさ、金銭的な面で…ずっとひとり暮らししてて平気なの?」
「お父様とお母様が残してくれたお金があるのし、私も働いてるし問題ないんじゃない?」
「え?」
「働いた分お給金貰ってるから」
「初耳なんですけど!!!」
「言ってなかったっけ」
「聞いてないよ!!!どこで!」
「甘栗甘だよ。危なくないから大丈夫」
「危なくないから大丈夫とそういう問題じゃないでしょ」
「ミナトの過保護はいつになったら治るの」
「君ねえ…アカデミーの頃から自分が人気あるの知らないからそんなこと言えるんだよ。俺がどれだけ周りを牽制するのに尽力したことか」
「なぜ牽制する必要が」
「ナマエは俺のなの!!」
「それこそ初耳だよ」

ミナトのあまりにストレートな物言いにも少し慣れたつもりだったけどやっぱり恥ずかしい。

「話を戻すけどさ、ナマエに一人暮らさせるのは不安だし、給金の面もあるし、俺たち一緒に住んだらいいと思うんだ」
「え?」
「時間かけてもいいから、考えておいてくれない?」
「ミナトはどうしてそこまで私を心配するの?」
「ん?それはナマエのことが好きだからに決まってる!」

誰かこの天然タラシをどうにかしてください。



ミナトからの無謀な提案に悩んだまま数日。
私はいつも通り甘栗甘で仕事をしていた。

「はあ」
「お、ナマエ。ため息なんかついてどうしたんだ」
「シカク。いやちょっと…」
「またミナトのやつに何か言われたのか」
「ちょっと無謀な提案をね」
「お前も大変だな。あいつ、忍としては天才だが私生活はてんでダメだ。」
「ほんとほんと」
「お前も大変なやつに好かれたな」
「ねえ、それって周知の事実なの?」
「そりゃあアカデミーの頃からな」
「そうなんだね」
「何だ、お前気づいてなかったのか?」
「薄々は感付いてたけど、直接言われたのはこの間が初めてかな」
「ふーん」

偶然甘栗甘の前を通ったシカクに少しだけ話を聞いて貰った。人に話すと少しだけ楽になった。

「お前だってミナトのこと好きなんだろう」
「でも、踏ん切りがつかなくて」
「なんで」
「後ろめたさが消えないの」
「だれに」
「んー、難しいんだけどね」

本来ミナトの隣にいるべきなのは、私みたいにうじうじ悩む女ではなく、底抜けに明るい太陽のようなあの子なのだ。

シカクは、まあせいぜい頑張れよと勘定をして帰っていった。シカクこそヨシノのこともうちょっとがんばればいいのに。