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【 2 】

そしてまた数年の月日が経ち、私たちは無事にアカデミーを卒業した。ミナトは順調に下忍、中忍になったが私は試験を受けなかった。たくさんの仲間が死んでいく姿をもう見たくない。それに、今は忍でなくてもミナトの近くにいられるから。そうはいっても私は一定の距離から近付けないでいるのだが。

―――コンコン

誰だろう…。ミナトは任務に出ると言っていたし、うちにやってくるにはまだ早い。

「はい」
「おー、お主がナマエか」
「自来也様!?」
「なんだ?わしを知っておるのか」
「(しまった)ミ、ミナトからよく聞いているもので…失礼しました」
「いやいや、いいんだ。そうかそうかアイツにはこんなに可愛い彼女がおったのか」
「か、彼女じゃありません!」
「そうなのか?」
「…はい」

否定の言葉を発してもなお、自来也様のニヤニヤは止まらない。完全に邪推している顔だ。

「今お茶をお出ししますから、適当に座っていただけますか?」
「ああ、気にするでない。わしはお主の顔を見に来ただけだ」
「そんな、ミナトのお師匠様をただで帰したなんて言ったら私がミナトに叱られてしまいます」
「じゃあお言葉に甘えようかのォ」

パタパタとスリッパを鳴らして台所へ急ぐ。ソファにドッカリと腰掛けた自来也様が、お前さん…本当にミナトと同い年か?とつぶやいた声は私の耳には届かなかった。

二人分のお茶を用意して戻ると、自来也様はありがとうと礼を言って湯呑みに口をつけた。

「自来也様はどうしてここへ?」
「さっきも言ったが、一度お主の顔を見ておこうと思ってな」
「はあ」
「ミナトのやつ、お前さんにえらくご執心みたいでのォ。ちょっとばかしからかってやろうと思ってな。ハッハッハ」

ああ、哀れなミナト。

「お前さんもアカデミーを出たんじゃろ?何故忍にならんかったのだ」
「…私には向いてないんです」
「向いてない?」
「仲間が死んでいく姿を見ていられないだろうし、ミナトが傷つく姿を間近で見てしまったら耐えられそうにないので」
「ほぉ」
「里の為に働かなきゃいけないんでしょうけど…それでも、私…」
「いや、そういうこともある。実際仲間が死んでいくのは辛いからのォ」
「そう、ですね」

ミナトが死んだ時のことを思い出した。
あの時ほどつらかったことはない。

「両親以外に誰か大切な人を亡くしたか」
「……ええ」
「……そうか」

ここがパラレルワールドだったとしても、本来あるべき世界ではなかったとしても今度は死んで欲しくない。

自来也様と真剣な話をしていたら乱雑なノックが聞こえ、すぐに足音が聞こえた。

「ナマエ!家に人をいれたらダメだってあれだけ…自来也先生!」
「よぉミナト!」
「ナマエに何したんですか」
「何もしとらんわい。そんな目で見るな」
「ナマエも。いくら自来也先生だからってすぐ家に入れちゃダメでしょ!っていうか自来也先生だからかえって危ない!」
「危ないとは心外な」
「先生にご無礼承知で言いますけど、用が済んだのなら帰ってください」
「ミナト、私は大丈夫だしもし良かったら夕食でも…」
「ナマエ、これ以上はミナトが怖いからわしは帰るぞ」
「申し訳ありません、せっかく来ていただいたのに」
「お主とはまた話す機会があるだろう。その時は団子でも奢るさ」
「はい、楽しみにしています」
「その時は僕もご一緒します!」
「ハッハッハ!男の嫉妬は醜いのォ!」
「先生!!」

結局慌ただしく自来也様は帰っていってしまった。なんだか申し訳ないことをしてしまった。

「ナマエ、ちゃーん?」

ああ、これはお説教タイムが始まるな。