【 後日談3 】
「ナマエ〜、ただいま。ん?」
仕事を終えていつも通りにナマエに声をかけながら玄関に足を踏み入れると、誰かの気配。この下駄、おおよその見当はついている。ああこの人はまた俺の留守中に…
「ナマエ、俺の留守中に人を家にあげないでってあれだけ言ったのに。」
「オイオイ、ワシを不審者扱いするな」
「そうだよミナト。自来也様がせっかく来てくださったのに」
「いくら先生でも…って前もこんなやり取りしたけどさ」
「懐かしいのォ」
あの頃はお前達が夫婦になって子供まで作る間柄になるなんて思ってなかったけどのォ!ハッハッハ!と豪快に笑う自来也先生とは裏腹に、ナマエの顔は真っ赤っかだ。いつもの俺の定位置にどっかりと座っている自来也先生を横目にナマエのとなりへ向かう。先生、今日はどんな用事ですか?と声をかければ、先生はしたり顔でその懐から一冊の本を取り出した。
「ワシの新作ができたんでのォ。真っ先にお前に読ませてやろうと思ってな」
「ド根性忍伝…ですか」
「ああ。感想はまた今度聞きに来るからちゃんと読んでおくんだぞ」
「ありがとうございます」
先生は俺に本を渡して満足そうに笑った後、寄り添う俺たちを見て仲が良さそうで何より何よりと、ニヤニヤ笑って帰っていった。
「ねえミナト、」
「ん?なんだい?」
「自来也様がいらしてからね、この子、すごく元気に動いてるの」
「はは、何か似たものを感じるのかな」
「えー、それは良いのか悪いのか…。」
困り顔のナマエの頭を撫でた後、今度はお腹を優しく撫でる。お前は自来也先生に似た、ある意味活発な男の子かな?俺としてはナマエによく似た女の子が良いんだけど…。早く会いたいね、
「ミナト、すごく優しい顔してる」
「そりゃあね、愛する人のことを考えてるから」
「この子はミナトに愛されて幸せ者ね」
「この子だけじゃないよ。俺は君のことを世界で一番愛してるから」
今度は大きなお腹を抱えたナマエが優しく微笑んだ。